「今年は小ぶりな感じ」イセエビ漁解禁も…“黒潮の大蛇行”で漁獲量は4年前から半減 観光にも暗い影=静岡・南伊豆町

全国有数のイセエビの名産地・静岡県南伊豆町で漁が解禁され、9月17日、今シーズン初の水揚げが行われました。イセエビは年々、漁獲量が減少していて、漁業だけでなく、地元の観光にも懸念が広がっています。

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白身が輝く刺身に、たれで味付けされた「鬼殻焼き」とぷりっぷりのボイル。

<柴田寛人記者>
「獲れたてのお刺身は、色がきれいです。いただきます。うん、絶品!甘くて、コリコリして、おいしいです」

2023年もようやくイセエビの本格的なシーズンがやってきました。

<漁師>
「エビダンゴだよ。エビがいっぱいいる時は、エビダンゴっていうんだよ」

17日の早朝、南伊豆町の下流漁港では、今シーズン初めてとなるイセエビの水揚げが行われたのですが、地元の人たちはある不安を抱えていました。

<地元の女性>
Q.水揚げの数はどうですか?
「去年と同じくらい。この先どうなるか分かりませんけど」

<下流海老網組合 池野昌男さん>
Q.イセエビの大きさは?
「今年は小ぶりな感じもします。でも、数は揚がっているものですから、最初としてはよかったと思います」

不安の種は漁獲量の減少です。過去10年のイセエビの漁獲量は減少し、2022年は4年前と比較すると半減しています。

原因は「黒潮の大蛇行」。海流の変化によって海水温が高くなり、エサが減ったことでイセエビ自体も減ったとみられています。

17日の水揚げ量は93.1kg。2022年よりは増えましたが、3年前は200kgを超えていたため、喜べる状況ではありません。

イセエビの減少は漁業だけでなく、観光にも影を落としています。南伊豆町の一大イベント「伊勢海老まつり」が、10月からスタートします。

町内の宿泊施設で、イセエビつきの1泊2食を5000円割引にするキャンペーンですが、15日から始まったインターネット予約はわずか4分で売り切れに。これだけの人気がある商品がなくなることだけは避けたいというのが観光業界の本音です。

<広浦荘 谷肌世代女将>
「先行きは不安ですけど。(水揚げの)初日の結果だけでは分からない。量が少なければ、相場は上がりますからね。お客様に(イセエビを)出すのが大変ですよ。大きいのが小さくなるとか、サイズがね」

南伊豆町のイセエビ漁は、2024年5月まで続きますが、今後の漁獲量の行方は町の景気を左右するほどの影響があり、地元の人たちは漁獲量の回復を祈っています。

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