やせ細って衰弱したコウノトリを救う 京都・南丹の住民ら「せめてもの恩返し」

救助されたコウノトリ。住民は「せめてもの恩返し」と話す(京都府南丹市八木町・古池)

 京都府南丹市八木町に飛来した国の特別天然記念物コウノトリ1羽が衰弱し、住民の手で保護された。痛々しい姿に一致団結した住民たちは「美しい姿を見せてもらっているコウノトリへのせめてもの恩返し」と話す。

 救助劇は14日にあった。八木昭・日本コウノトリの会理事=亀岡市大井町=が「古池」を訪れたところ、翼をだらんと下げているのを見つけた。飛び立てないようで、放置すれば、獣に襲われる恐れがあった。

 住民に連絡すると、室橋コウノトリを育む会のメンバーなど約10人が集結。縦3メートル、横20メートルほどのネットを用意し、驚かさないように慎重に近づき、ネットをかけた。コウノトリは暴れず、身を任せていた。見守った住民たちは拍手し、「これで助かる」と安堵(あんど)した。

 今年生まれた体長約1メートルのオスで、毛布にくるみ、立ち会った南丹市教育委員会の担当者に引き渡した。

 けがはなかったが、やせ細って衰弱していた。今後、コウノトリの郷公園(兵庫県)で養生する見通し。八木さんは「すぐに助けられたのはチームワークのおかげ」と汗をぬぐい、無事を願った。

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