【CLグループH展望】バルサが3季ぶり決勝Tへ…残り1枠もポルト優勢

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2023-24シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)グループステージが9月19日に開幕する。グループHはバルセロナとポルトの2強に、シャフタールとロイヤル・アントワープが挑む2強2弱の構図だ。

◆編集部予想

◎本命:バルセロナ

○対抗:ポルト

△連下:アントワープ

△連下:シャフタール

◆恵まれた組み分けで3季ぶりの突破へ~バルセロナ~

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今グループの大本命に昨シーズンのラ・リーガ王者を選ぶことに異論の声はないはずだ。

直近2シーズンはいずれもバイエルンと同居し、一昨季はベンフィカ、昨季はインテルに屈して2年連続のグループステージ敗退の屈辱を味わったブラウグラナ。しかし、昨季ラ・リーガで4シーズンぶりの優勝を果たしたことで、念願のポット1に入ったチャビのチームは、ブンデスリーガ王者バイエルンとの3季連続の同居を回避した上、4大リーグの強豪との対戦も回避する理想的な組み分けとなった。

今夏の移籍市場ではMFブスケッツとDFジョルディ・アルバの重鎮2人の退団に加え、優勝の立役者となったFWデンベレが想定外の流出に。その一方で、深刻な財政問題を抱える中で様々な策を講じながら、MFギュンドアン、DFイニゴ・マルティネスをフリー、MFロメウを格安の完全移籍、DFカンセロとFWフェリックスをレンタルで獲得。中盤の選手層にやや不安を抱えるものの、概ねカタルーニャ人指揮官が満足する補強となった。

ラ・リーガでは開幕からパフォーマンス自体は安定していないものの、4勝1分けの5戦無敗と上々の滑り出しを見せる。とりわけ、直近のベティス戦ではフェリックスとカンセロの初ゴールを含むマニータの圧勝を収めた。MFペドリももうしばらくで戦列復帰が見込まれ、16歳の超新星FWラミン・ヤマルも試合を経るごとに凄みを増す。

質実剛健な好チームであるポルト相手に取りこぼす可能性はあるものの、アントワープとシャフタールとの実力差を考えれば、3シーズン連続で屈辱を味わう可能性は限りなくゼロと言って差支えないはずだ。

◆突破を最低限ノルマに虎視眈々と首位通過狙う~ポルト~

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直近3シーズン中2度の決勝トーナメント進出を決めているポルトガルの強豪がバルセロナの対抗となる。

一昨季はリバプール、ミラン、アトレティコ・マドリーと同居した“死の組”を突破できなかったものの、昨季はアトレティコとレバークーゼンを退けてグループ首位通過を決めたポルト。また、ラウンド16では準優勝インテル相手に2戦合計0-1と善戦を見せるなど、4大リーグの強豪クラブと遜色ない実力者だ。

毎年のように主力を引き抜かれながらも、2017年就任のセルジオ・コンセイソン監督の下、ソリッドさが印象的なチームは今夏も長年主力を担ったMFオタビオやMFウリベが中東に流出。その一方で、今グループステージで対戦するバルセロナからMFニコ・ゴンサレスを完全移籍で、アヤックスから指揮官の息子MFフランシスコ・コンセイソン、メキシコ代表DFホルヘ・サンチェスの2選手をレンタルで獲得。また、アルゼンチンの逸材MFバレラなど若手逸材が加入した。さらに、流出の可能性があった守護神ジオゴ・コスタと主砲タレミも残留しており、全体的には昨季からスケールアップした印象だ。

今季のプリメイラ・リーガでは5試合8得点と攻撃力に課題を残すが、ここまで4勝1分けと上々の滑り出し。去就問題に決着が付いた主砲が本領を発揮できれば、今グループステージでも大崩れする可能性は低い。

◆CL初出場で躍進目指す~アントワープ~

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昨シーズンのジュピラー・プロ・リーグで66年ぶりの優勝を果たしたアントワープは、今回が初のCL本戦初出場となる。

オーフェルマルスSD、ファン・ボメル監督とオランダ代表のレジェンドの下で昨季悲願を達成したアントワープは、ギリシャの強豪AEKアテネとの拮抗した予選プレーオフを制してCL本戦出場という2年連続の成功を収めた。

昨季までMF三好康児(現バーミンガム)が在籍していたことで知られるベルギーの古豪は、前述のようにオランダ代表のレジェンド2人のコネクションを使い、ベルギー代表DFアルデルヴァイレルト、オランダ代表のDFワインダルとFWヤンセン、元アヤックスMFエケレカンプらがチームの主軸を担う。また、今夏の移籍市場ではドルトムントDFクリバリやナイジェリア代表FWエジュケといったタレントが新たに加入している。

今季ここまでの国内リーグでは3勝2分け1敗の5位と好スタートを切るには至らなかったが、アルデルヴァイレルトを軸とする堅守を特徴とする好チームだ。指揮官の古巣バルセロナと対峙する初戦で自分たちの現在地を把握しつつ、まずは初勝利を目標に躍進を目指すことになる。

◆今季もウクライナの誇りを胸に戦う~シャフタール~

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ヨーロッパの実績ではポルトに肉薄するが、ロシアによる母国ウクライナへの軍事侵攻の影響を考慮すると、今季も難しい戦いを強いられそうだ。

昨季はポーランドを仮暮らしの本拠地とし、今年1月にチェルシーへ旅立ったFWムドリクの鮮烈な活躍もあってレアル・マドリー、RBライプツィヒ、セルティックと同居したグループを3位でフィニッシュしたシャフタール。多くの制限が設けられた国内リーグでも戦禍の王者に輝いた。

今季はオランダ人指揮官のファン・ルーウェン監督を新指揮官に据えたが、ロシアとの戦闘の長期化やFIFAの移籍特例措置によって守護神トルビンを始め、多くの選手が新天地を求めた。補強に関しては以前からコネクションのあるブラジルの若手数選手やDFチグリンスキーの帰還、新守護神ルドコが加入。ただ、昨季からの戦力ダウンは否めない。

また、今季のグループステージのホームゲームは、ドイツのハンブルクにあるフォルクスパルクシュタディオンでの代替開催となり、ホームアドバンテージを得られないという部分でも難しい戦いとなるはずだ。

現状のスカッドは働き盛りの中堅が少なく、若手とベテラン中心の構成となっており、前述のチグリンスキーやDFラキツキ、MFステパネンコらが伸びしろ十分の若手をいかに活かせられるかが重要となる。

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