「小説が歯止めに」青葉被告、過去に家族へのガソリン放火殺人を企図

逮捕された際、ストレッチャーで伏見署に移送された青葉真司被告(2020年5月、京都市伏見区)

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第7回公判が19日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。青葉被告は被告人質問で、過去に家族へのガソリン放火殺人を企図していたが「小説が歯止めになっていた」と述べ、殺人を思いとどまった心境を説明した。検察側の質問に答えた。

 青葉被告の証言によると、11年の東日本大震災の後、福島第1原発事故の関連業務に派遣職員として働こうとしたが定員となって実現しなかった。無職で生活保護費も受給しておらず、長年交流が途絶えていた母に金銭の援助を願い出た。この頃の自身の状況について、青葉被告は「生活が破綻し、追い詰められた」といい、練炭を購入して自殺しようとしたという。

 12年6月には、恋愛感情を抱いていた京アニの女性監督とネット掲示板でトラブルになり、直後に、茨城県坂東市でコンビニ強盗事件を起こした。青葉被告はこの日の被告人質問で、コンビニ強盗事件の逮捕後に簡易鑑定を受けた際の言動として、「母と兄にガソリンをまいて殺してやろうと思った。無差別殺人をしてやろうと思った」と話したことを認めた。実行しなかった理由を検察官に問われ、「小説に対して、どこかで思いがあり、つっかえ棒になった」と説明した。

 起訴状によると、青葉被告は2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに正面玄関から侵入し、ガソリンを社員に浴びせてライターで火を付けて建物を全焼させ、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた、などとしている。

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