浦和、来季の天皇杯出場資格が剥奪…JFAが一部サポーター暴徒化で処分

[写真:Getty Images]

日本サッカー協会(JFA)は19日、一部サポーターが暴徒化の浦和レッズに対して、2024年の天皇杯参加資格剥奪とけん責の処分を科すと発表した。

82日に行われた天皇杯4回戦で名古屋グランパスと対戦した浦和。0-3の敗北後、浦和の一部サポーターが暴動を起こし、県警が出動する騒ぎに発展した。

当該サポーターを巡っては浦和、JFAがそれぞれ処分。そして、JFAの規律委員会はこのたび、浦和に上述の処分を決め、次のように綴ったった。

「本件サポーターらによる本件管理規定違反行為は、対象者がサポーターとクラブとの間のコミュニケーションを通じて適切な管理監督と指導を行っていれば、防止することができたものであるといわざるを得なかったものであり、対象者には、自チームのサポーターに適切な観戦マナーを守らせ、施設の適切な使用等を周知し、遵守させる義務があるとした天皇杯試合運営要項第30条第1項に定める指導責任(サポーターの行為についての管理監督責任及びサポーターへの指導責任)の懈怠があったものと認められる」

「さらに、本件サポーターらによる本件管理規定違反行為の発生後も、対象者は暴徒化した本件サポーターらを即刻退去させるなどして本件管理規定違反行為を止めることができず、結果的に1時間あまりの間、スタジアムを警備運営関係者においても制御することができない無秩序な状態に陥らせた。したがって、対象者は、被害の発生及び拡大を防ぎ、観客や選手その他の試合に関わる人の安全を確保するために適切な措置を講ずるべきであるとする同条第2項にも違反すると認められる」

また、「これまでにも、対象者のサポーターが引き起こした問題行動による懲罰事案は、Jリーグ及び天皇杯を含めて2000年以降だけでも11件にも上る」と過去も踏まえ、チームとしての再発防止に向けた取り組みに一定の評価をしつつ、「残念ながら、そのような取組みにもかかわらず、対象者のサポーターによる問題行動は繰り返され、それらの問題行動は改善を見せるどころか、本件のような集団的に暴徒化するという許されざる暴挙にまで至っている」と断じ、今回の処分理由を続けた。

「このような実態を直視すると、対象者による取組みは十分ではなかったといわざるを得ず、対象者にさらなる猛省と実効性のある再発防止策の策定及び実施を促すには、これまでと同様に罰金の処分を重ねたとしても、十分な効果は得られないと考えられる」

「さらに、対象者のサポーターによる問題行動に係るJリーグによる直近の懲罰事案(2022年7月)においては、対象者は、罰金2000万円の懲罰を科されるとともに、『対象者が再びサポーターの行為に起因する懲罰事案を発生させた場合、無観客試合の開催又は勝点減といった懲罰を諮問する可能性がある)』と強い警告を受けていた。本件はこの警告にもかかわらず発生したものである」

「以上を踏まえ、本件がトーナメント制を採用する天皇杯において行われたこと及び対象者が既に本年度の天皇杯を敗退していることを考慮し、当委員会は、対象者に対して、譴責(始末書の提出)に加えて、『2024年度天皇杯(天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会)の参加資格の剥奪』というこれまでに対象者に科した懲罰よりも重い懲罰を科すことが相当であると判断した」

なお、サポーターに対する付言として、「以上の懲罰は、対象者(クラブ)に対するものであるが、本件管理規定違反行為の実行者である本件サポーターらには、自らの行為がクラブに招いた結果の重大性をしっかりと受け止めてほしい」と反省を求める形で締めくくった。

「サポーターはクラブとその選手たちを心から応援し、愛する存在であるはずである。観戦ルールに違反する行為は、結果的に、自分が愛するクラブ、ひいては、そのクラブを愛する多くの仲間たちを傷つけることになってしまう。そのことを自覚し、ルールを守って観戦していただくことを当委員会としても切に願うものである」

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