●駅前や繁華街でサプライズ
10月14日に開幕する国民文化祭(いしかわ百万石文化祭2023)をPRするため、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)は19日、金沢市内の飲食店を巡る「流し公演」をスタートした。拠点とする県立音楽堂を飛び出し、駅前や繁華街で客や通行人にサプライズの演奏を披露。26、27日にも市中心部で実施し、開幕まで1カ月を切った文化の祭典へ機運を高める。
初日は本紙でエッセーを執筆する広上淳一OEKアーティスティック・リーダーとバイオリンの坂本久仁雄さん、ビオラの丸山萌音揮(もとき)さんが出演した。JR金沢駅構内のイタリア料理店「カンパーニュ クチーナ&バール」を皮切りに、片町の飲食店など計5店舗を巡った。
同駅ではシューベルトの「魔王」などを奏でたほか、サティの「ジュ・トゥ・ヴー」では広上さんが鍵盤ハーモニカで参加して会場を盛り上げた。「こちらから出掛けて音楽を届け、皆さんに幸せな気持ちになってもらいたい」と広上さん。家族と一緒に演奏を聴いた吉田真君(諸江町小2年)は「間近で音楽が聞けて楽しかった」と笑顔を見せた。
11月3日から3日間行われる国文祭の「音楽堂3days!」と題した企画では、OEKがスペシャルコンサートを開くほか、狂言師、野村萬斎さんが音楽劇「山月記・名人伝」を繰り広げる。
流し公演は26日に木倉町エリア、27日に駅前商店街エリアの飲食店を巡る。
●21日定期公演
OEKは21日午後7時、県立音楽堂で定期公演(北國新聞社特別協力)を開く。19日は広上さんが率いるOEKとピアノ三重奏団「葵トリオ」がリハーサルを行った。
秋元孝介さんがピアノ、小川響子さんがバイオリン、伊東裕さんがチェロを務める葵トリオはミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で日本人初の優勝を果たした。公演ではべートーベンのピアノ、バイオリンとチェロのための三重協奏曲を披露する。OEKはビゼー(シチェドリン編)のカルメン組曲を奏でる。