朝乃山、星五分で終盤戦へ またも大栄翔に屈す

 大相撲秋場所(両国国技館)10日目の19日、西前頭2枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は東関脇大栄翔(追手風部屋)に突き落としで敗れ、5敗目を喫した。5勝5敗で、星が五分に戻って終盤戦に突入する。目標に掲げてきた「2桁勝利」には1敗もできない状況となり「切り替えるしかない。考えても明日はやってくる」と気持ちを立て直す。

 大栄翔に突き落とされ、土俵に両手をついた朝乃山の表情が一瞬、ゆがんだ。今年度、30歳を迎える同学年対決で、対抗意識を燃やす大栄翔に完敗だった。対戦があった直近5場所では不戦敗を含め1勝4敗と苦手な相手で「リベンジしたい」と臨んでいた。

 鋭く踏み込んだ大栄翔の突き、押しに劣勢となり、右喉輪をまともに受けて体がのけ反り「自分の方が上体が高かった。焦りがあった」と反省点を挙げる。足がそろったところを突き落とされ、ばったりと両手をついた。「圧力がかかっている分、引かれてしまった」とため息をついた。

 7日目からの連勝が3で止まり、波に乗りきれない。「相手の攻めの方が一つ、二つ低かった。今日は勝ちたかった」と悔しさをにじませた。思うように白星を伸ばせず、ここまでの成績への自己評価を問われても「分かんない」と言葉少なだった。

 年内の三役復帰に望みをつなぐためには終盤戦が重要になる。「1番でも多く勝ちたい。少しでも近づきたい」と白星への執念を見せる。

 11日目は西前頭5枚目の湘南乃海(高田川部屋)との対戦が組まれた。過去4戦全勝と合い口がいい相手で、終盤戦を幸先良く滑り出すことができるかに注目が集まる。

 

  ●勝ちたかった。切り替えるしかない 一問一答

 ―取組を振り返って。

 立ち合いはしっかり当たっても、その後の攻めが相手の方が一つ、二つ低かった。押されて土俵際に追い込まれて、圧力がかかっている分、引かれてしまった。

 ―大栄翔戦には特別な思いもあったのでは。

 今日は勝ちたかった。同年代だし。

 ―反省を次に生かせるか。

 切り替えるしかない。考えても明日はやってくるので。

 ―ここまでの成績の自己評価は。

 自己評価っすか。分かんない。

 ―かみ合ってない感覚か。

 分からないが、かみ合ってないんじゃないか。かみ合わせるように頑張る。

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