第2回「地域ブランド」を保護する地域団体商標制度とは

■そもそも商標とは

「地域団体商標制度」は、商標制度の枠組みの中で地域ブランドを保護することを目的とした制度となりますので、まずは商標について説明します。

商標とは、企業などの事業者が、自社の取り扱う商品・サービスを他社のものと区別するために使用するマークのことを言います。簡単に言えば、「これは自分の作った商品です」「これは自分が提供しているサービスです」ということを消費者にアピールするために、事業者が商品やサービスに使用するマークのことを言います。

したがって、事業者にとって商標はとても重要なものとなります。

また、商品を購入したり、サービスを利用したりする私たち消費者にとっても、それぞれの事業者が作った商品やサービスを区別する際に商標はとても重要な役割を果たしています。

■商標権とは

続いて商標権について説明します。

これまで説明してきた商標と何が違うのか気になる方もいらっしゃると思います。

商標権は特許庁の審査を経て登録された商標を特定の商品やサービスに独占して使用することができる権利のことを言います。商標権を取得するためには、商標登録願を特許庁に出願していただく必要があります。

出願人が出願した商標登録願をもとに、特許庁の審査官による審査が行われ、登録された場合には、登録された商標を指定した商品やサービスに独占して使用することができる商標権が発生します。

■地域団体商標制度とは

それでは、メインテーマである「地域団体商標制度」について説明します。

一般に、地域ブランドの名称としては、地域の特産品やサービスにその産地の地域名を付した商標が採用されることが多いとされています。

しかしながら、通常、こういった「地域名」と「商品・サービス名」の組み合わせからなる文字商標は、全国的に周知となっていなければ商標登録することができないとされています。

例えば、「東京」という地名と「りんご」という商品名を組み合わせた「東京りんご」という文字商標は、全国的に有名なブランドとして認識されていることが認められない限り、商標登録ができませんでした。

そのため、全国的に有名なブランドとして認識されるまでの間は、他人による模倣を排除することができず、安心して事業を実施することが困難となっていました。

そのような状況の中、2006年に創設されたのが「地域団体商標制度」です。

この制度ができたことにより、「東京りんご」のように「地域名」と「商品・サービス名」を組み合わせた文字商標であって、それが全国的に有名なブランドとして認識されていなくても、一定の条件を満たせば、商標登録することが可能となりました。

2023年9月1日時点で759件の地域団体商標が登録されています。

さて、第3回は、「地域団体商標を権利化するのにはどうすればいいの」についてお話します。

★さらに詳しく知りたい方はこちら!

特許庁発行「地域団体商標ガイドブック~カタログ編~2023」

地域団体商標制度の概要、制度に関する支援策、登録されている742件(2022年12月末時点)の地域団体商標を掲載しています。

地域団体商標ガイドブック表紙

寄稿者 特許庁 商標課地域ブランド推進室

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