相次ぐ子どもへの性加害…子どもを守るために議論が進む「日本版DBS」とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。9月12日(火)放送の「HOT Word」のコーナーでは、相次ぐ“子どもへの性加害”について取り上げました。

◆現役校長が児童売春・ポルノ禁止法違反で逮捕

9月11日、東京都練馬区立三原台中学校の北村比左嘉校長が児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されました。本件は去年11月、都の教育委員会の相談窓口に匿名で「過去に先生からわいせつ行為を受けた」と電話があったことから発覚しました。事件発覚を受け、練馬区教育委員会は、緊急会見を開き謝罪。さらに保護者会を実施し、今後の対応を説明するとともに、生徒たちにはアンケートを行い、結果次第ではスクールカウンセラーなどによる心のケアを行っていくとしています。

一方、8月には教え子の小学生の女の子を盗撮したなどとして逮捕された大手中学受験塾「四谷大塚」の元講師が、同じ女の子の両足を掴んで開き、下着を盗撮したなどとして強制わいせつなどの疑いで再逮捕されました。

これら一連の事件にキャスターの堀潤は、被疑者と関係する学校や塾の子どもたちを慮り、「(被疑者たちは)本来であれば子どもたちを導いてあげる存在なのに」と悲嘆。

Health for all.jp代表の茶山美鈴さんは、「(こうした事件を)認識することで子どもたちは心の傷を負ってしまう。今は日本版DBS(性犯罪歴等確認の仕組み)や法律、政策の改訂が進んでいるが、スクールカウンセラーなどがしっかりとケアしてあげることが大事。それが学校や政治、国がやることだと思う」と子どもたちの心を案じます。

脳科学者の茂木健一郎さんは「こういう事件が起こったときに一番気をつけたいのは、悪いことをした大人を罰することも重要だが、それよりも大事なのは子どもたちの心のケアだと思う」とコメント。

なお、文科省が発表している2020年度の学校公教育現場での教職員の懲戒処分状況を見ると、その前年、そして翌年も含め、性暴力を受けた人は200人台。同時に精神的なプレッシャーからメンタルヘルスを崩し、休職した先生の数も公表されており、こちらは近年5,000人台で高止まりしています。

◆相次ぐ事件で議論が加速する「日本版DBS」とは?

公教育現場から子どもたちを守る手段として「日本版DBS」の導入に向けた議論が活発化しています。DBSとは「Disclosure and Barring Service」の略で、イギリスやドイツ、フランスなどで既に導入されており、子どもと接する仕事に就きたい人は情報を一元管理する「DBS」が発行する「無犯罪証明書」がなければ仕事に就くことができません。日本でも今秋の国会での法案提出に向けて、こども家庭庁の有識者会議でも議論が進んでいます。

有識者会議で提出された報告書案では、DBSの対象となるのは「学校・保育所・認定こども園、児童養護施設」。一方で「学習塾や学童保育、スポーツクラブ」など民間業者は任意。また、対象の犯罪種別は「不同意わいせつ罪」など性犯罪の前科を想定しており、不起訴処分や行政処分を受けたケースなどは含まれない見通しとなっています。

元宮崎県知事で元衆議院議員の東国原英夫さんは、これまでの議論を踏まえ「昔からこうしたことは一定数あった。でも、当時は表に出ない。みんな我慢をしていた。しかし、社会が変わってきて、こうしたことが露わになってきた。僕は一歩進んだと思う」と現状について語ります。そして、日本版DBSについては「今後議論を重ねて、おそらく3年、5年で見直しになる。状況を見てから(制度の対象を広げる方向に)見直すべきだと思う」と持論を述べます。

茂木さんは、マイナンバーカードでトラブルが相次いだことを引き合いに挙げ「万が一、DBSのデータベースに間違った情報が登録されていたときに、それをどう訂正できるのかなど、システム設計がかなり重要だと思う」と懸念。もし間違えた場合にはその人の一生を左右するとあって、より慎重な対応を求めていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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