命が一番大事…でも避難後の寒さや食料も心配 「防災」弁護士が考えた“津波避難すごろく”【わたしの防災】

津波から命を守るため、自分だったらどう行動するのか。津波避難を題材としたゲームに高校生が挑戦しました。素早い避難が大切だと分かっていても、簡単にはいかないようです。

【動画】命が一番大事…でも避難後の寒さや食料も心配 「防災」弁護士が考えた“津波避難すごろく”【わたしの防災】

<「防災」弁護士 永野海さん>
「東日本大震災でいろんな理由で亡くなっています。死者・行方不明者1万8,000人の中で津波で亡くなった人は何割ぐらいいると思いますか。答えは9割が津波で亡くなっています」

静岡市の弁護士 永野海さんです。永野さんは、被災地で法律的な分野の支援活動に取り組みながら、津波防災を中心に講演会や学校での防災授業を行っています。

8月11日、静岡市駿河区で開かれた静岡新聞SBSの防災・減災プロジェクト「TeamBuddy(チームバディー)」のイベントでは、永野さんが手掛けた「津波避難すごろく」に静岡県内の高校生20人がチャレンジしました。

「津波避難すごろく」は、海沿いの街がモデルになっていて、学校の裏山や友だちが住む高級マンション、隣町の高い山など高さが書かれた避難場所がいくつもあります。

学校にいる「あなた」は、どこへ逃げるのか。進んだマス目の数が避難にかかった時間で、例では17分かけて、高さ11メートルの裏山に逃げました。最後にサイコロで津波が来るまでの時間と高さを決めて、安全な逃げ方だったのか考えます。

<高校生>
「高さ的に考えたら古いビルなんだけど、ここは怖いし」
「高級マンションは?」
「でも(少し低い)13メートル、学校から近いな」

<高校生>
「橋は危ないよね。崩れるよね」
「結構、海に近いから津波がバアーって来るかも知れないから」
「川は渡りたくないよね」

<高校生>
「1,2,3,4,5,6,7,8」
「相当歩いているな、これ」

避難方法が決まったら、なぜ、そのルートを通ったのか、みんなで議論します。

<「防災」弁護士 永野海さん>
「とても聞きたいことが一つあります。ラジオを取りましたね、学校の。ラジオをどういうふうに生かしますか」

<高校生>
「津波から逃げた後に、例えば、裏山に行って情報をラジオから取っていろんな行動をするためです」

<「防災」弁護士 永野海さん>
「ラジオを取ると遠回りになるよね。もし、わざわざ回り道しないと取りに行けないならどうするのか。ぜひ1回考えてみるきっかけになるかも知れない」

<「防災」弁護士 永野海さん>
「次、こっち。友だちのマンション。あえて何も取らずに友だちのマンションに行った理由を教えてください」

<高校生>
「命が一番大切だから、何も取らずに、まずは自分の命を助けることを優先して最短で逃げました」

<「防災」弁護士 永野海さん>
「さっきのチームは命が大事だから何も取らない。ここはあえて取る選択をしたのは?」

<高校生>
「季節が冬だから寒い。暖房とか効かないから毛布が必要で食料も裏山に行っちゃったら食料が無いから確保しておいたほうがいい」

<「防災」弁護士 永野海さん>
「生き残ったらそれが命を守ってくれるかも知れない。でも、本当はどうしたらいいかというと、最初から持っているのが一番いいんだよね。本当はね」

最後にサイコロを2つ振った合計で津波の高さが6メートル、7つ振った合計で津波が来るまでの時間が31分と決まりました。

今回は、結果的に全員が逃げ切れましたが、いつ来るのかや高さも分からない津波に対し、素早く判断し、行動することは難しかったようです。

<高校生>
「何を大切にして優先するかによって自分の運命が変わるから、その場で対応しなければいけないのが難しいなと感じました」

<高校生>
「ここまで詳しく地震や防災について考えたことが無かったのでいい経験ができた」

<「防災」弁護士 永野海さん>
「正解はないけれども、どれだけ実際に地震が来た時に足を動かすことを想像できるか。危ない所はどこかとか、どこに逃げるのが選択肢になるか、考えながら生活してもらいたい」

今回体験した「津波避難すごろく」は、講師を務めた弁護士の永野海さんのホームページからダウンロードすることができます。

© 静岡放送株式会社