「ブラック企業のお手本」ビッグモーター現役社員が不正証言 「コーティングせず料金」

タイヤを「海外最安」で交換するよう指示するグループLINE。ビッグモーター社員は「格安品にしたことを客には黙っている」と証言した(画像の一部を加工しています)

 保険金の不正請求や除草剤散布の問題で揺れる中古車販売大手ビッグモーター(東京)の京都府内の店舗に勤める現役社員の男性が、19日までに京都新聞社の取材に応じた。サービスを実施したと偽って顧客に水増し請求するなど「不正疑惑があった」と証言。同日、金融庁が立ち入り検査を始めたが、男性は「ブラック企業のお手本みたいな会社。不祥事の発覚後も何も変わっておらず、良くなるとは思えない」とため息をついた。

 自動車保険金の水増しなど悪質な行為が全国で明らかになる中、男性は「自分が働く店でも不正が横行していた」と明かす。中古車を買った客から数万円する「洗車不要」のコーティングを依頼されても、実施せずに料金を取るケースがあり、「コーティングしたら、納車ノルマの期日に間に合わない」と店が指示していたという。

 業務内容を報告し合う同店舗のグループLINEには、「(タイヤは)海外最安で交換お願いします!」との投稿が残る。車を修理する際、海外メーカーの格安タイヤに交換し、価格を上乗せするようにとの店側からの指令だという。男性は直接関与していないとした上で「これは詐欺行為だと思う」と訴えた。

 男性の説明では、除草剤は毎月、会社幹部が来店して美化状況を点検する「環境整備」に備えて散布されていた。以前は店舗前の歩道から雑草をなくすため、原液のまま10リットル以上の薬剤が何本もまかれたという。

 内部資料によると、環境整備は「敷地周り、歩道は雑草がなくキレイか」「ガラスはピカピカか」などの点検項目があり、点数化される。雑草が1本でも見つかれば「0点」で、満点以外は店長やスタッフが解雇や降格処分になるという。

 ビッグモーターの広報担当者は、府内店舗での客への水増し請求疑惑などについて「情報を把握しておらず、社内で調査を進める」と回答した。

© 株式会社京都新聞社