青葉被告、自作小説落選後にネタ帳燃やし「つっかえ棒なくなった」

青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第7回公判が19日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。青葉被告は被告人質問で、京アニの小説コンクールで自作の小説が落選した後、長年書き留めていたネタ帳を燃やした出来事を振り返り、「失恋に似た感情があった。つっかえ棒がなくなり、やけになった」と語った。検察側の質問に答えた。

 青葉被告の作品は2017年3月、同コンクールに落選し、その後、小説サイトに自らの作品を投稿したが読者が皆無だった。被告人質問で青葉被告は「1人でも読んでくれていたら、違ったと思う」と明かした。

 30代半ばで刑務所に収容されて書き始めた小説のネタ帳を18年1月に燃やした点について、「小説を諦める気持ちがあった。失恋に似た感情があり、一度密接にくっついたものを引きはがすのに大変難儀した覚えがある」と振り返った。「何かしら、つっかえ棒がなくなった。生きていくためのつながりがなくなり、良からぬ事件を起こす方向に向かった」と述べた。

 青葉被告はこれまでの公判で、京アニ事件を起こす寸前に自身の半生を思い返していたと陳述。「京アニは光の階段をのぼり、それに比べて自分の人生はあまりにも暗い」と述べ、コンビニや郵便局でのアルバイトや小説の創作も「全て実を結ばずに終わった」と答えていた。放火事件について、ちゅうちょする気持ちがあった一方、「自分の20年間はどうしても暗い。やっぱり、ここまで来たらやろうと思った」との心境を語っていた。

 起訴状によると、青葉被告は2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに正面玄関から侵入し、ガソリンを社員に浴びせてライターで火を付けて建物を全焼させ、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた、などとしている。

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