全仏新女王イガ・シフィオンテクがテニスと勉強の両立を語る

今年最後のグランドスラム、全仏オープンで大きな話題になったのが、ポーランド人で初のグランドスラム優勝を果たした19歳、イガ・シフィオンテクだ。

グランドスラムを2度制した世界ランキング2位のシモーナ・ハレプ(ルーマニア)や今年の全豪オープンチャンピオンのソフィア・ケニン(アメリカ)らを抑え、全試合ストレート勝ち。細い体とは裏腹に、パワフルなショットで多くのウィナーを奪うプレースタイルは、世界中のテニスファンを魅了した。

そのシンデレラガール、シフィオンテクは、テニスだけをするのではなく、勉強にも大きな力を注いでいると、プロテニスプレーヤーのノア・ルビン(アメリカ/世界ランキング240位)が立ち上げたWebサイト『ビハインド・ザ・ラケット』で語っている。

15歳の時に初めて出場したグランドスラムジュニアで『プロになりたい』と感じたというシフィオンテクは、ポーランドには多くの選手がいるわけではないため、ツアーへの取り組み方も自分なりの方法を見つけて、ここまで取り組んできたという。そのため、テニスに人生を懸けているのかと思いきや、シフィオンテクの大部分を占めているのが学業だとした。

「数週間前に高校を卒業しました。パンデミックのおかげで試験のために頑張る時間ができました。私はすべてを完璧にやりたいと思っているので、ツアーを回りながら勉強するのは大変でした」と、1年中世界を転戦しながら学業にも励んでいたという。

当然ながらくじけそうになった時期もあったというが、そんな時に支えとなったのが話題にもなったスポーツ心理学者だ。

「心理学者の方に『すべて完璧にこなす必要ない』と気づかせてもらったわ」と、テニスと勉強をいいバランスで両立することができたとした。

しかし、すべてのテニスプレーヤーの最高峰でもあるグランドスラムで優勝できるほどの選手が勉強をしているのだろうか? テニスに専念し、勝利のために腕を磨くのが普通かもしれない。だが、シフィオンテクは一味違う。

「勉強しているのは、視野を広げるため。もしテニスでトップになれなければ、他のことをすることもできる。幸い、優秀な成績で卒業したので、ポーランドの好きな大学に進学したり、奨学金を得てアメリカに留学したりすることもできるわ。両親は私と姉をまず学校に行かせ、それからテニスをさせたの。数年以内に大学へ行くかもしれないわ。来年、グランドスラムで優勝してトップ5の選手になったら、時間がないからテニスのキャリア次第かもしれない。でも、そうならなかったら大学に入るつもり」と、自らの成績次第では大学に進学することも視野に入れているという。

© 株式会社キャピタルスポーツ