朝乃山、再び白星先行 大相撲秋場所

 大相撲秋場所(両国国技館)11日目の20日、西前頭2枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は同5枚目の湘南乃海(高田川部屋)を寄り切り、幕内通算350回出場の節目を白星で飾った。6勝目で白星を先行させ、今場所最後の三役戦へ「一日一番、しっかり自分の相撲を取って、明日以降につなげたい」と気合を入れ直した。

 朝乃山は本来の右四つとは逆の左を差す立ち合いになった。先場所の途中休場の原因となった左上腕の負傷を抱えており「止まると苦しい。左を差したからには出るしかない」と覚悟を決め、右でおっつけながら前進し、休まず一気に寄り切った。

 「昨日はふがいないというか、悔しい相撲だった」。10日目には対抗意識を燃やす関脇大栄翔に完敗だったが、黒星を引きずらずに「切り替えて前に出る相撲を取れたのが良かった」と一息ついた。

 湘南乃海は新入幕の先場所で10勝を挙げ、敢闘賞を受賞した勢いのある力士だ。「がっぷりになったら相手が力を発揮するし、何でもできる器用なタイプ」と警戒していたが、何もさせずに退け、元大関の力を示した。

 12日目は西小結翔猿と対戦し、今場所最後の役力士との顔合わせとなる。翔猿とは過去2戦全勝で、先場所は再出場した12日目で対戦してすくい投げで下している。

 今場所の役力士との成績は2勝5敗で負け越しており、最後に一矢報いることができるかも注目だ。支度部屋では取材対応後、モニターで幕内首位の熱海富士と翔猿との一戦に見入り「明日、当たるんですよね」とぽつりと漏らした。

 年内の三役復帰へ向けて重要な終盤戦を白星でスタートし、勝ち越しにはあと2勝。「今日は終わった。また明日へ切り替える」とひた向きに土俵に向かう。

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