加賀の母に「きょう決める」 オリックスV3・山﨑颯

 「きょう決めるよ」。20日にパ・リーグ優勝を決めたプロ野球オリックスの山﨑颯一郎投手(25)=加賀市出身、敦賀気比高OB=は試合前、母節子さん(51)にそう告げて大一番に臨んだ。九回表に登板して最後の打者を三振に取り、有言実行のリーグ3連覇。節子さんは「大きなけがを乗り越え、よくここまで頑張った」と涙を流し、孝行息子をたたえた。

 節子さんによると、19日に山﨑投手に送ったLINE(ライン)のメッセージの返事が20日に届き、優勝に向けてこの試合に懸ける意気込みが記されていた。

 仕事のため球場で観戦はできなかったが、自宅のテレビ中継で息子の晴れ舞台を見守った節子さん。故障による靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)など、これまで苦労が多かったと振り返り、試合終了後は「諦めずに努力して頑張ったご褒美やね」とラインで山﨑投手をねぎらった。

 山﨑投手が山代中時代に所属した硬式野球・加賀ボーイズの林茂信会長は「加賀からこんなすごいピッチャーが出るなんて大したもんや」と大喜びで、地元後援会の設立へ準備を進めるとした。

  ●胴上げ投手に感慨 「何とか抑えて勝とうと」

 山﨑投手が3連覇の胴上げ投手となった。マウンドで捕手と抱き合い、「何とか抑えて勝つという気持ちだった」と喜びに浸った。

 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に追加招集されたが、登板なしに終わった。「悔しかったが、すごくいい経験をさせてもらった。その経験を生かせるシーズンにしたいと思っていた」。チームトップの登板数で救援陣を引っ張った右腕の奮闘はこれ以上ない形で報われた。

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