英政府は20日、2030年に禁止する予定だったガソリン車とディーゼル車の新車販売を35年に先送りすると発表した。欧州連合(EU)や米カリフォルニア州などが35年に原則として禁じるのと足並みをそろえ、より長い移行期間を求める産業界に配慮する姿勢を示した。
英国では禁止後の新車販売は、二酸化炭素(CO2)を含めた温室効果ガスを走行中に排出しない電気自動車(EV)などのゼロエミッション車だけが認められる。ジョンソン政権時代にガソリン車などの30年の禁止を決めたが、スナク政権は支持率が低迷している中で25年1月までに実施される次期総選挙を意識したとみられる。
英国に生産拠点を置いているトヨタ自動車の現地法人は「(脱炭素化には)低排出で手頃な価格の技術が、現実的な移行で重要な役割を果たす」とコメントした。
一方、環境活動家や、EV事業に重点的に投資してきた自動車メーカーからは反発の声が出ている。スナク首相は記者会見で「少なくとも現時点では政府が強制するのではなく、消費者が選択できるようにすべきだ」と訴えた。