電子書籍、来年度にも導入 県立図書館

県立図書館の電子書籍サービス導入について協議した県図書館協議会=山形市・遊学館

 県立図書館は20日、タブレットなどで読むことができる電子書籍サービスを早ければ来年度に導入する方針を明らかにした。主に一般書や児童書を貸し出す市町村立図書館とすみ分けをして、専門書や実用書を中心に提供する。端末による読書や学習が普及する中、時代に即した環境を整備する。

 県立図書館は本年度、電子書籍サービスの導入に向けた調査研究として、先進地視察やアンケートを実施してきた。山形市の遊学館で同日開かれた県図書館協議会の席上、調査結果と今後の方針が示された。

 調査によると、電子書籍サービスは全国の公立図書館の約3割、都道府県立図書館の約5割が導入済み。本県では現在、東根市のみが実施している。他の34市町村については、8市町が「導入について検討中」、26市町村が「特に検討は行っていない、または当面導入する考えはない」と回答した。市町村側からは「県立図書館が先行して導入すれば、市町村立は動きやすくなる」といった意見も出た。

 県立図書館の利用者に対するアンケートでは、「(電子書籍サービスを)利用したい」が39%、「利用したくない」が30%、「どちらともいえない」が31%だった。「電子書籍を導入しても、紙の本は不可欠」との要望も複数あった。県立図書館としては紙の本の整備が後退しないように配慮し、導入に向けて県教育委員会と調整する。

 説明を受けた県図書館協議会の委員は導入に賛成した。委員を務める中学校長は、子どもの読書離れが進んでいると指摘し、「読書の機会を増やすために紙と電子書籍の両方をそろえ、どんどん進めてほしい」と述べた。

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