高岡の鳳凰、擬人化 nifuniさんがキャラ考案、グッズ開発

鳳凰のキャラクターをデザインしたショルダーバッグの試作品を確認するnifuniさん(右から2人目)ら関係者=高岡市西町

  ●人気漫画「左ききのエレン」作画

 シリーズ累計300万部の人気漫画「左ききのエレン」の作画を手がけた高岡市在住の漫画家nifuni(にふに)さん(36)が、高岡の地名の由来となった伝説の生き物「鳳凰(ほうおう)」を擬人化したキャラクターを考案した。高岡市戸出栄町のニット製造業「エフアイニット」と連携してキャラをあしらった新商品を製作する。富山県西部で盛んな繊維産業とコラボレーションし、高岡の「ものづくり文化」と「漫画文化」を発信する。

  ●エフアイニット(戸出)と連携、第1弾はショルダーバッグ 

 nifuniさんは国立高岡短大(現富大芸術文化学部)で金属工芸を学んだ後、ジュエリーデザイナーとして勤務し、30歳の時、集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+」の連載「左ききのエレン」で漫画家デビューした。

 nifuniさんは、自身の「ものづくり」の原点である高岡を象徴する存在として、地名の由来となった「鳳凰」に着目。双子をイメージして青色の「鳳(ほう)」と赤色の「凰(おう)」というキャラクターを描いた。

 華やかな「とさか」などが特徴で、高岡の町を開いた加賀藩前田家2代の前田利長にちなみ、頬に前田家の梅鉢紋(うめばちもん)をあしらった。

 鳳凰グッズの製作は、エフアイニットが高岡ゆかりの新商品を開発したいと、デザイン会社「相互企画印刷」(高岡市西町)の林正人さん(58)に相談したのが発端。話し合う中で、nifuniさんとのコラボレーションが浮上し、第1弾として「ニット製ショルダーバッグ」を製作することになった。

 バッグは、かわいらしくデフォルメした「鳳」と「凰」をデザインし、高級感も漂うものに仕上がった。nifuniさんは「鳳凰は吉祥の象徴。持っていると良いことがありそうな、前向きな気持ちになるグッズにしたい」と語り、「鳳凰に見守られている高岡の不思議な力を広めたい」と意欲を示す。

 10月20日から11月26日まで高岡市の御旅屋セリオで開かれる「nifuni展」(富山新聞社などでつくる元気たかおか応援プロジェクト実行委員会主催)では原画やこれまでの作品を展示するとともに、「鳳凰」のキャラクターとショルダーバッグをお披露目する。

 nifuniさんとエフアイニットのコラボレーションの仕掛け人である林さんは「高岡のものづくりと漫画の魅力を多くの人に伝えたい」と話し、エフアイニットの澤田資司取締役(72)は「高岡の歴史に興味を持ってもらうきっかけにしたい」と語った。

  ●nifuniさん、街を舞台に公開制作 高岡会館で実行委

 元気たかおか応援プロジェクト実行委員会は21日、富山新聞高岡会館で開かれ、「nifuni展」の事業計画が承認された。展覧会に加え、高岡の街を舞台に「ライブペインティング」を繰り広げる。

 「左ききのエレン」の主人公の1人である「山岸エレン」がスプレー缶で壁などに絵を描く「グラフィティアート」で才能を発揮することにちなみ、nifuniさんが公開制作のかたちで大型パネルなどにイラストを描く。

 会場は10月22日がウイング・ウイング高岡(らぁめん次元)、同29日がクルン高岡(B1ステージ)、11月12日が末広坂商店街(カフェ次元)で、時間はいずれも午前10時から午後5時。制作風景を市民らに見てもらうことで、にぎわいにつなげる。

 ★鳳凰 徳の高い君子が現れた時に出現する想像上の生き物で、めでたさの象徴。加賀藩前田家2代の前田利長が1609(慶長14)年、高岡城を築き、高岡の町を開いた際、中国の古典「詩経」の一節「鳳凰鳴けり かの高き岡に」にちなんで、高岡と名付けられたとされる。

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