長引く残暑“秋”にも影響 栃木県内の行楽地 ヒガンバナの開花遅れも 紅葉見頃予想

みかも山公園の万葉庭園で咲くヒガンバナ。例年より1週間ほど遅れて八分咲きとなった=21日午後、佐野市

 厳しい残暑が、秋の行楽シーズンにも響き始めている。栃木県内は21日、最高気温が各地で30度を下回ったものの、これまでの暑さの影響で紅葉の見頃は遅くなる見通しという。新型コロナウイルスの5類移行後、初の紅葉シーズン。集客を期待する観光地の関係者は、色づきや見頃のピーク時期を注視する。一方、秋の訪れを告げるヒガンバナは開花が例年より1週間ほど遅れた。23日の秋分の日の前になっていよいよ開花が進んでおり、関係者は週末の見頃に期待している。

 草紅葉が色づき始めた奥日光の戦場ケ原。日光市観光協会の福田栄仁(ふくだえいひと)事務局長(68)は「草紅葉の見頃は9月下旬からなので遅れている」と話す。「今年は暑い日が続いたが、今後朝晩の寒暖差が大きくなれば色づきも早まりそうだ」と見込んでいる。

 紅葉シーズンにゴンドラを運行する那須町大島のマウントジーンズ那須は今年、運行期間を1週間ほど延ばして11月中旬までとした。営業販促セクションの山口晶子(やまぐちあきこ)係長(54)は「最後まで多くの人に楽しんでもらおうと延長を決めた」と語る。

 紅葉の見頃が遅れてもゴンドラは運行しており、集客への影響は懸念していない。ただ「もし紅葉のピークが大幅にずれてしまうのであれば、運行の時期を再検討するなど営業態勢を考えたい」と話した。

 日本気象協会によると、長引く残暑の影響で、県内の紅葉の見頃は例年より約10日間遅くなる予想。主なスポットでの見頃予想は日光・鬼怒川が10月下旬、茶臼岳(那須町)が10月上旬〜11月上旬、太平山(栃木市)が11月下旬〜12月中旬などとなっている。

 一方、佐野市と栃木市にまたがるみかも山公園内の万葉庭園では、ヒガンバナの開花が例年より1週間ほど遅れた。公園管理事務所の緑の相談員柴﨑智正(しばざきともまさ)さん(61)は「残暑が続き、最低気温が下がらなかったことが影響した」と漏らす。それでも21日には八分咲き程度となり「多くの人に見に来てほしい」と笑顔を見せた。

 約55万本が群生する茂木町の城山公園のヒガンバナも同様に開花が遅れ、現在四分咲き程度。見頃は今週末から来週にかけてになるという。

 宇都宮地方気象台によると、今後も残暑が続く見込みで27、28の両日は最高気温30度以上の真夏日となる予報。10月に入ると、気温は少しずつ下がり始めるという。

みかも山公園の万葉庭園で咲くヒガンバナ。例年より1週間ほど遅れて八分咲きとなった=21日午後、佐野市

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