特定少年に懲役5年求刑 金沢地裁裁判員裁判 「美人局」強盗致傷事件

 金沢市内で昨年10月、「美人局(つつもたせ)」の手口で男性を誘い出し暴行を加えて現金を奪ったなどとして、強盗致傷の罪に問われた当時19歳の男(20)の裁判員裁判論告求刑公判は22日、金沢地裁(野村充裁判長)であった。検察側は懲役5年を求刑、弁護側は執行猶予付きの判決を求めて結審した。判決は29日。

 改正少年法で規定された「特定少年」の裁判員裁判は金沢地裁で初めて。

 検察側は論告で、被告は、共犯者の少女が交流サイト(SNS)で誘い出した男性に因縁を付け、「一歩間違えば生命の危険を生じさせかねない、危険性の高い暴行を加えた」と非難。被告は役割分担を決め、暴行を指示するなど犯行を主導したと述べた。

 弁護側は最終弁論で「事前に強盗まで計画されておらず、暴行は突発的なもので悪質な犯行ではない」と主張。被告の知的能力に合わせた更生支援計画が立てられていることや、被害者2人に各120万円の示談金を支払ったことも考慮すべきだとした。

 被告は最終意見陳述で「自分の悪い所、弱い所を自覚できた。支えてくれた人を裏切らないよう更生したい」と述べた。

 起訴状によると、被告は少年少女ら4人と共謀し昨年10月6日未明、金沢市内の公園で20代男性を暴行して現金を奪おうとし、さらに翌晩、同じ公園で別の20代男性の顔面を蹴って気絶させるなどし、1万5千円を奪ったとされる。2人はあばら骨や頭の骨を折る重傷を負った。

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