高齢ドライバーのリスクは?成人の視野200度に対し高齢者は160度 ブレーキを踏み込めないことも

(夏目みな美キャスター)
交通事故の全体の件数は、実は年々減っています。ただその中で、高齢ドライバーが起こす事故の割合は年々増加しています。

では高齢ドライバーのリスクというのは、どういったことがあるんでしょうか?

(山内彩加キャスター)
まず皆さん運転をするときは身体能力が影響するというのはご存じだと思いますが、高齢になるとどうしても身体能力が低下します。例えば動体視力が低下して、車間距離が取りにくくなったり、視野が狭くなって、飛び出しに気づきにくくなります。

成人は左右の目で200度くらいまで周りが見えていると言われてますが、高齢になるとどうしても160度くらいまで視野が狭まります。そして筋力も低下するので、危険だと思ってブレーキを踏んでも、ブレーキを踏み込めないなどのリスクがあります。

運転免許を返納する方法は?

(夏目みな美キャスター)
運転に不安を感じたら免許を自主返納できますが、その方法は?

(山内彩加キャスター)
まず警察署や運転免許センターなどに、有効期間内の運転免許証を持参してください。料金はかかりません。

ただこの自主返納をした後にもらえる運転経歴証明書を発行するのには、手数料が必要です。この運転経歴証明書は、今後、公的な本人確認書類として利用することが可能です。

例えばこれを持ってると、タクシーやバスの運賃やスーパーの宅配料金、飲食店の料金が割引されるなど、自治体によって異なる特典があります。

池袋の高齢ドライバー事件の年 返納件数高まる

(夏目みな美キャスター)
ではどのぐらい自主返納が進んでいるんでしょうか?

(山内彩加キャスター)
免許返納数と返納率をグラフで見てみます。免許返納数が青い棒グラフで、返納率が赤い折れ線グラフとなってます。2019年一番多いですよね。高齢者の事件・事故が報道されると、返納件数が高まるということで、2019年は池袋で高齢ドライバーの暴走事件がありました。

ただ、それ以降は減少傾向にあります。返納率は最大でも6%ということなので、免許を持っている75歳以上の方々は、9割以上が免許をそのまま持ち続けていることがわかります。

(夏目みな美キャスター)
あくまで自主返納ということですから、これは高齢ドライバーの皆さんも免許を手放したくない事情がそれぞれあるんでしょうね。

(大石邦彦アンカーマン)
取材で出会った98歳の高齢ドライバーに話を聞きました。大正14年生まれの、ドライバー歴75年というベテランのドライバーさんになります。これまで免許更新のときに、認知機能検査も全てクリアしてきましたので、免許更新はできています。無事故、無違反で運転には自信があり、運転は毎日しているといいます。

病院に行ったり近所だけではなく、例えば奥様と一緒に長野県など遠方までドライブしたりもするということなんです。ストレートに「自主返納は考えますか」と聞きましたら、「いやいや、生活の足を奪われたら暮らしていけない」という本音を話してくれました。

(夏目みな美キャスター)
私の父と母もまだ運転していますが、いつか返納すべきタイミングが来るかなと思うんですけれど、離れて暮らしているので「そろそろ自主返納したら」というのは、生活の足のことを考えたらちょっと無責任な気がして、やっぱり壁があるなと思います。

(大石邦彦アンカーマン)
そうですね実際にデータでも出ています。警察庁が出しているデータなんですが、運転継続者の中で、「自主返納しようと思ったことがある方がためらう理由」は何ですかと聞きました。

最も多いのが「生活が不便」だということ、これ全体の7割なんですね。2番目が「運転する楽しみが失われる」が10%、やっぱり「生活が不便」が一番多いんです。実際にこの調査結果を見ていくと、都市の規模が小さくて、つまり郊外でマイカーへの依存度が高い人ほど、自主返納への意識が低いという結果も出ています。

やはり、免許を返納した後の生活の足の確保をどうするのか、特に過疎地域での対策は急務かと思います。

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