「アルビノも悪くない」2万人に1人の “指定難病” を患う12歳少女 新たなチャレンジに密着

病気や疾患の中には、難治性のものや、治療法自体が確立されていないものがあります。こうした病気や疾患を国は“指定難病”に認定していますが、「アルビノ」もその一つです。生まれつきアルビノとして生きてきた12歳の少女の生活に密着しました。

2万人に1人の指定難病アルビノ「これが私の普通だから」

三重県川越町に住む小学6年生の貞廣泉水さんは、白い肌に金色の髪の毛、薄い茶色の瞳をしています。生まれつき肌や髪の毛の色のもとになるメラニン色素を作れない体質である「アルビノ」です。アルビノは、2万人に1人の割合で発症する国の指定難病で、根本的な治療法は見つかっていません。

(泉水さんの父親・貞廣司さん)
「すれ違って、また戻ってきてもう一度確認しに来る。二度見とか。こっちを見られているのだろうな(と思った)」

幼い頃から、他人の視線を浴びることの多かった泉水さんですが、いつも笑顔で明るく過ごしています。

(貞廣泉水さん)
「私視点では、アルビノも悪くないかなって。というか、それが私にとっての普通だから」

これが自分にとって当たり前だと考えているのです。

小学6年生の夏休み、泉水さんは2つのことに取り組んでいました。一つは英語の勉強。秋に英検5級の試験を受ける予定です。アルビノの影響で視力が弱く、本を立てる書見台や大きな文字のテキストは欠かせません。単に目が悪いのではなく、網膜の形成が不完全なため、眼鏡やコンタクトレンズでは視力を矯正できません。それでも泉水さんは、いつもポジティブです。

(貞廣泉水さん)
「(中学校の)入学式でドッキリしたい!英語でしゃべって『あれ、こいつ外国人?』と思わせて、日本語にいきなり切り替える」

将来の安全性を確保するため「白杖」を持っての歩行訓練がスタート

もう一つ取り組んでいるのが、視覚障害者用の杖「白杖」を使った歩行訓練です。

(貞廣泉水さん)
「(法律で定められている)白杖か盲導犬か決まっているラインのギリギリらしくて、白杖を中学校から持つことになって。ちょっと嫌だな…」

法律では、目が見えない人や極めて視力が弱い人が外を歩く際、杖や盲導犬を利用するよう定められています。泉水さんは、日差しが強い屋外では眩しさから目を開けないこともあるため、杖は歩く際の助けにもなります。

杖の重さや段差での引っ掛かりなど、慣れない中でも歩行訓練士の指導で、杖を使って歩く練習を続けていました。来年は中学に進学し通学路も新しくなるため、初めての道でも歩けるよう、こうした練習が必要です。炎天下でも、長袖・長ズボン・帽子姿なのは、色素が少ないため紫外線の刺激に弱く、すぐにひどい日焼けになってしまうから。2時間おきに日焼け止めを塗ることも欠かせません。

(NPO法人の歩行訓練士・戸松伯子さん)
「徐々に大きくなって行動範囲が広がる時に、自分自身で白杖で確認し、安全を確保できる。具体的にはホームからの転落防止や、交差点を安全に横断できるとか。今すぐの緊急的な必要性というよりかは、将来に向けての安全性を確保するための練習。彼女も頑張って練習してくれている」

「学校が一番好き」積極的にやりたいことに挑戦する毎日

泉水さんにとって、小学生最後の夏休み。部屋のカレンダーには、親子陶芸教室やお祭りなど、学校や地域のイベントがたくさん書き込まれていました。

(貞廣泉水さん)
「(Qどうして予定をいっぱいにするの?)小学校の最後の夏休みだし、夏休みの親子教室とかは大体小6までで、中学生になって『あー行きたかった』ってなるのは嫌だから」

待ちに待った児童館の夏祭りでは、泉水さんは子どもスタッフとして運営を手伝います。役割は「ワニたたき」の案内係。泉水さんにとって一番の仲良しである、えなさんと一緒に盛り上げます。

(泉水さんの仲良し・えなさん)
「最初は外国人かなと思ったけど、普通に接しています。泉水ちゃんはおもしろい子だと思う」

充実の夏休みが終わり、迎えた新学期。泉水さんにとって、一番楽しいのは学校でした。教室では書見台に教科書を置き、時折黒板の文字を単眼鏡で確認しては、積極的に手を挙げます。

「アルビノは個性の一つ」と明るく話す泉水さんの世界は、成長するにつれてますます広がっていきます。

CBCテレビ「チャント!」9月13日放送より

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