保管温度が不適切なコロナワクチンを170人に接種 冷凍庫が故障か

新型コロナウイルスワクチンの不適切接種が判明し、謝罪する草津市幹部(22日午後、市役所)

 滋賀県草津市は22日、冷凍庫での保管温度が適正に保たれていなかった新型コロナウイルスのワクチンを170人に接種していたと発表した。冷凍庫の異常が原因とみられる。健康被害の報告はないといい、市は対象者全員に連絡し、抗体検査を実施するとともに抗体のない人には追加接種する、としている。

 市によると、ワクチンはオミクロン株派生型「XBB・1.5」対応品で、今月11日に冷凍庫の適正温度(零下60~90度)を確認して保管を始めたが、18日に一時的に零下28.4度まで上昇していた。冷凍庫は警報アラームが鳴るが、同日は祝日で職員が不在だった。その後、保管温度は適正値に戻っていたという。22日朝に零下54度に上がり、職員が警報に気付いた。この際、冷凍庫のログを調べ、18日にも保管温度を超えていたことが判明した。

 保管温度が不適切だったワクチンは、20日に始まった秋接種で7医療機関と1集団接種会場で計170人に使われていた。市は未使用だった約9100回分を廃棄する予定で、他自治体からワクチンの融通を受けるなど接種に影響が出ないようにするという。

 市は冷凍庫の故障の可能性もあるとみて、メーカーに原因調査を求めている。橋川渉市長は「市民の皆様にご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる。確認体制の強化や再発防止策を講じる」とコメントした。

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