「雨が降る前、異様な赤い空が怖かった」 70年前の水害、被災者が語る恐怖

南山城水害で被災した時の状況を語る中西さん(左)=木津川市山城町

 1953(昭和28)年8月の南山城水害から70年の節目に合わせた「地域防災学習会~南山城水害に学ぶ」が17日、木津川市山城町のアスピアやましろで開かれた。参加者たち被災者の体験や気象研究の解説を聞き、災害への備えについて考えた。

 学習会は山城町地域長連合と桃山高グローバルサイエンス部(京都市伏見区)が主催した。

 はじめに、生徒たちが名付けた積乱雲「田辺五郎」の発生条件や特徴などについて発表した。続いて、10歳で水害を経験した國吉基史さん(80)が講演し「雨が降る前、異様な赤い空が広がっていて怖かった。今でも人が濁流にのまれていく光景は鮮明に覚えている」と当時を振り返った。

 京都大防災研究所付属流域災害研究センターの川池健司教授が「天井川流域における河川防災」と題して、近年の災害について解説した。川池教授は「備えとして、事前にハザードマップや河川水位など情報の確認を」と呼びかけた。

 学習会の後、不動川の見学会を開き、被災者の中西佳子さんが体験を語った。

 桃山高1年の男子生徒(15)は「被災者の話を聞き、災害の恐ろしさがよく分かった。積乱雲の研究が防災につながるよう取り組んでいきたい」と話した。

桃山高グローバルサイエンス部の積乱雲「田辺五郎」の研究について説明を聞く住民たち(木津川市山城町・アスピアやましろ)

© 株式会社京都新聞社