大分市中央町と府内五番街の両商店街、防災でタッグ 事業継続計画の策定始める【大分県】

非常時でも事業を継続させるためのポイントについて学ぶ商店街の関係者ら=22日、大分市中央町
講演する事継舎の佐藤雅信代表

 県都・大分市中心部の中央町、府内五番街の両商店街振興組合が防災でタッグを組む。災害や事故などの非常時に備え、今月から事業継続計画(BCP)の策定を始めた。多数の店舗が加盟し、店員や客の安全確認、スムーズな復旧が求められるためだ。専門家によると、商店街が一体となって取り組むのは全国でも珍しい。個々の店や企業だけにとどまらず、地域ぐるみでの危機管理の機運が高まっている。

 両商店街はJR大分駅北側のまちなかにある。中央町は約70店、府内五番街には約100店が加盟。飲食店や小売店など、さまざまな業態が軒を連ねる。

 これまでに豪雨や地震で目立った被害を受けたことはないものの、全国各地で毎年のように自然災害が起きている。北九州市の商店街「旦過(たんが)市場」が昨年、2度にわたる大規模火災に遭ったのも記憶に新しい。

 県内の各種組合が入る県中小企業団体中央会(大分市)の呼びかけがきっかけで、有事にも広域の店舗機能をできる限り維持するためにBCPが必要と判断した。

 22日は大分市のソレイユで専門家を招いた初回の講座があり、両商店街の役員や店主ら関係者約20人が参加した。

 来年1月にかけて▽災害発生時の避難誘導やアナウンス▽各店舗・施設の被害集計の段取り―など必要な取り組みを整理し、手順をまとめたタイムテーブルを作る。机上の演習も実施して、実践的な計画に練り上げる方針だ。

 会合に出た中央町の太田和幸専務理事(42)、府内五番街の藤井俊之副理事長(44)は「安全、安心なまちづくりに向け、『面』の取り組みを進めたい」と話した。

 全国の企業や協同組合のBCP策定を支援している事継舎(じけいしゃ)(千葉県浦安市)の佐藤雅信代表(63)が講師を務めた。「いろんな人が行き来する商店街が、不測の事態に備える意義は大きい」と強調した。

 危機管理を個々の事業者レベルで終わらせない動きは、既に他の業界団体では広がっている。大分県内でも県木材協同組合連合会(大分市)、大分市管工事協同組合などが計画を策定済みだ。

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