まさかのお宝!倉庫から渋沢栄一の書発見 さいたまの会社、一時は処分検討も箱の「渋沢」で鑑定へ

応接室に飾られている渋沢栄一の書と田部井良代表取締役社長=8月28日、埼玉県さいたま市大宮区の毎日興業本社

 総合ビル管理業「毎日興業」(埼玉県さいたま市大宮区)の本社応接室に「楽夫天命」と記された書が飾られている。筆を執ったのは日本資本主義の礎を築いた深谷市出身の実業家・渋沢栄一だ。約2年前まで、倉庫に眠っていたという書は偶然発見されて、現在は応接室から会社を見守っている。

 楽夫天命は、中国の詩人陶淵明の詩「帰去来辞」(ききょらいのじ)の一句で、「天から命じられたことを楽しむ」という意味。

 書は2021年4月、応接室に飾られた。それまでは本社の倉庫で保管されていたが、整理した際に社員が発見した。同社に保管されていた詳しい理由は不明だが、田部井良社長は「先代の社長が集めていたものの一つだろう」と推測する。

 初めは誰が書いたものか分からず、処分も検討したが、箱には「渋沢」と記されていた。そのため知り合いを通じて鑑定を依頼したところ、渋沢栄一が書いたものと判明した。60歳前後の頃につづった書とみられている。

 書が見つかった21年は、渋沢栄一が主人公のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」が放送された年。田部井社長は「発見は偶然だけど、ある意味で必然だったかもしれない。勝手ながら、(渋沢翁に)応援してもらっていると感じている」と語る。

 同社では事業活動も積極的に行っており、渋沢栄一から学べることも多いという。田部井社長は「どんな未来になっても自分で社会をつくっていくという思いを持ちたい」と力を込めた。

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