ナカニシ、米中市場を強化 品質やアフターサービスで差異化図る シェア拡大へ

ナカニシが海外での販売を強化する各種ハンドピースとデンタルチェア

 歯科医療機器製造のナカニシ(鹿沼市下日向、中西英一(なかにしえいいち)社長)が、成長市場と位置付ける米国と中国で販売促進に力を入れている。品質の高さや充実したアフターサービスで競合他社との差異化を図り、シェア拡大を進める。中西社長は「成長市場を押さえないと成長は見込めない。シェア拡大を加速させていく」と展望する。

 中西社長によると、米国は歯科医が不足し、大学の歯学部が増設される傾向にある。今後、開業医の増加も見込まれる中、同国は高価格帯商品が売れやすい「リッチな市場」という。

 米国での同社のシェアは2016年、5位だったが、現在は3位で、2位に迫るという。同社の主力製品は歯を削る機器のハンドピース。同国では圧縮空気でドリルを回転させるエアタービン方式が主流だが、同社は切削能力がより高い電気モーター式を他社に先駆けて販売した。性能も評価され、売り上げを拡大。現地の営業担当者とともに、アフターサービスも充実させたことで「安心して使える、と信頼を得ている」(中西社長)。

 8月には同国のデンタルチェアメーカーを子会社化。ハンドピースとデンタルチェアのパッケージ販売の強化を図る。開業医にとって備品一式を同じグループでそろえられるのは安心感が高いといい、ナカニシの製品の普及と買い替え需要の取り込みを狙う。

 10月には、エアタービン方式の新製品も投入する。空気の流れを効率よくし、他社製より1.4〜1.5倍の切削力を実現する。5月に先行発売した日本や欧州で好調に推移しており、中西社長は「性能は断トツ。米国シェアナンバーワンを実現できる」と語る。

 中国は国民所得の増大に伴いヘルスケア市場が成長しているという。ただ、ナカニシ製品のコピー品が出回る上、中国メーカーも躍進。競争が激しくなる中、ナカニシは販売や購入後のサポートを強化するため、21〜22年に営業所を立て続けに5カ所開設した。中国政府の自国品優遇政策への対応として22年には四川省に組立工場も設け、今年5月末に出荷を開始した。

 中西社長は「アフターサービスを充実させ、シェアを拡大していきたい」と力を込めた。

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