県病と青森市民病院 統合議論へ有識者会議 知事と市長、新設で合意

2病院の統合に向けた今後の進め方などについて方針を確認した宮下知事(手前右)と西市長(同左)ら

 県立中央病院(青森市東造道)と青森市民病院(同市勝田)の統合新病院整備を巡り、宮下宗一郎知事と西秀記青森市長が22日、県庁で会談し、整備の議論を担う新たな有識者会議を設置することで合意した。宮下知事は、立地場所や公共交通アクセスの在り方を青森市として主体的に検討するよう要請。西市長は、まちづくりの観点を踏まえて検討、提案すると応じた。「統合新病院の整備、共同経営」という基本方針は、維持することを確認した。

 医療従事者不足、建物の老朽化など、両病院が抱える課題に対応するため、当時の三村申吾知事と小野寺晃彦市長は2022年2月、統合新病院の基本方針に合意した。宮下知事は今月4日、これまでの議論が不十分だとして、検討内容を全面的に見直す意向を表明。西市長は、県と歩調を合わせる考えを示していた。両者が検討内容の見直しを巡って、公の場で意見交換をするのは初めて。

 新設する有識者会議は、病床規模や立地場所、県内2次医療機関との連携など、統合新病院の基本的な内容を「オープンな場」(知事、市長)で議論する。人選や設置時期は検討中。21年度に県病、青森市民病院の将来像を協議し「統合新病院の整備」を提言した有識者協議会とは、性格が異なる。

 市は立地場所、市民病院の跡地利用、公共交通について、まちづくりの観点から議論する会議体を設置し、検討内容を新設の有識者会議に諮る意向。

 会談で宮下知事は「今年に入ってから対外的な議論がほとんど進んでいなかった環境を好転させ、再構築する必要がある。他圏域の病院や診療所との関係、県全体を視野に入れた対応を考え、一致団結して取り組みたい」と話した。

 西市長は「場所、市民病院の施設や公共交通など、市として責任を持って対応する。さまざまな論点について、県と市がお互いに納得できるものをつくり上げるのが最も大事だ」と語った。場所については、終了後の取材に対し「現在の候補地3カ所は、しっかりと考え抜かれた場所。知事が懸念されている部分があるので、どうしたら解決できるか、ほかに場所があるかも含めて広く検討していきたい」との考えを示した。

© 株式会社東奥日報社