朝乃山敗れ2桁逃す 元大関対決、正代に何もできず

  ●千秋楽はV狙う熱海富士戦

 大相撲秋場所(両国国技館)14日目の23日、西前頭2枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は東前頭3枚目の正代(時津風部屋)との元大関対決に敗れ、6敗目を喫した。今場所の目標に掲げた「2桁勝利」は果たせず「負けは負け」と落胆を隠せなかった。千秋楽は、単独首位を走る熱海富士の初の幕内最高優勝が懸かった一番の相手に指名され、若手ホープの壁となれるか、今場所最注目の大一番に臨む。

 一方的な敗北だった。立ち合いで左上手を引けず、正代にもろ差しを許して一方的に寄り切られた。「踏み込み負け。テレビのリプレーを見ても左上手を取りにいく位置が深かった」。取組後、暗い表情でかみしめるように以前からの課題を口にした。

 2日連続の元大関対決。正代とは過去8勝4敗で、直近は4連勝中と相性は悪くなかったが、立ち合いから一気に持っていかれ、何もできなかった。取材には言葉少なで深いため息をついた。支度部屋では先場所を途中休場する原因となった左上腕を気にするしぐさもあり「自分の上体が起きてしまい、突き落としも効かなかった」と振り返る。

 一方で、錦木と翔猿の両小結が負け越し、三役の入れ替えは2枠になりそうな情勢。「年内の三役復帰」に可能性が残ったが、朝乃山にとっては千秋楽の勝利が最低条件となる。

 この日は土俵下で東前頭15枚目の熱海富士が阿炎を破って幕内首位を堅守した一番を見守った。その相手と、千秋楽を闘う。21歳の期待の若手は朝乃山が不在の時期に番付を駆け上がった。朝乃山が敗れれば、その瞬間に幕内優勝が決まる。

 取組を編成する審判部としては、優勝するための最後の試練として朝乃山戦を組んだことになる。大関戦が組まれても不思議ではなかったが、今場所で最も盛り上がる一番の相手として、朝乃山が選ばれた以上は役割を果たすしかない。

 朝乃山は「明日で最後なので、今日みたいなふがいない相撲で終わりたくはない。白星で終わりたい」と気合を入れ、最後の一番に全身全霊で臨む。

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