「親が懐かしがって子どもに説明している」真夜中のお引っ越しから40年…『0系新幹線』はきょうも元気です!

1983年、引退した0系新幹線が静岡県富士市の公園に引っ越し、展示されることになりました。真夜中の国道1号を工場のある浜松から大移動し、当時、大きな話題となりました。あれから40年。移設先である新通町公園(富士市中央町)で、いまなお展示されていました。

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サビなどの劣化から守るため、移設から4年ほど経ってから、車両を覆う屋根も取りつけられ、大切に保存されています。

土日祝日に限られますが、新幹線車両の内部も公開され、運転席にも座ることもできます。車両全体は動きませんが、自動車のアクセルにあたる「ノッチ」や前進後退のレバーは、現役当時のまま動くので、小さな子どもでも運転士気分を味わうことができます。

2~3歳児と、その保護者が来場者の中心です。1日に50人くらいが訪れます。交通量の多い大通りからは見えない場所なので、富士市に住む人でも、意外に知らない”穴場”の公園だそうです。

水飲み器やテーブルを肘掛けから引き出す客席シートを見て、「親が懐かしがって、子どもに説明している姿がよくみられます」と富士市から委託を受けて、見学の世話をしている係の方は話していました。

新幹線車両は、旧国鉄から借り受けているもので、修理する場合は、昭和の当時と同様の部品を使う約束になっています。今後、補修する必要が出てきた時に「その部品をどう確保するかが課題」と、管理する富士市みどりの課は話します。

新通町公園では、新幹線移設前からミニ列車が走っていました。今も、第2日曜日(5月は、こどもの日)には、鉄道公園愛好会のボランティアメンバーによって、一度に数人がまたがって乗れ、全長300メートルの線路を走る列車が運行されています。ミニ列車運行時には、普段の倍の約100人が公園にやってくるといいます。新通町公園は、入園料も、車内見学も、ミニ列車に乗るのも、全てが無料です。

2024年は新幹線開業60周年。長年会長を務めた初代から、2022年、愛好会の会長を引き継いだ桜井良継さん(67)は「乗り物に興味を持つのは、多くの子どもの通り道。ルールを守って、安全に乗車することも、ここで覚えてもらえれば」とミニ列車運行を続ける意義を話していました。

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