【F1日本GP予選の要点】新人のフロントロウ獲得は13年ぶり。素直に喜ぶ一方で、悔しさも見せたピアストリ

 新人オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が、F1第17戦日本GP予選で2番グリッドを獲得した。
 
 今回の結果には、ふたつの大きな意味がある。ひとつはルーキーによるフロントロウが、2010年のニコ・ヒュルケンベルグによるポールポジション獲得以来の快挙だったことだ。ちなみに13年前のヒュルケンベルグは予選中に雨が降り出し、上位勢がアタックできないという幸運に恵まれた。

 それがピアストリの場合は、安定したドライコンディションでのガチンコ勝負のなかで、並み居る先輩たちを抑えて2番手タイムを叩き出した。特に同じマシンを駆るチームメイト、ランド・ノリスに勝った意味は大きい。

2023年F1第17戦日本GP 予選3番手のランド・ノリス&2番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 そしてもうひとつは鈴鹿サーキットという非常に難易度の高いコースで、初フロントロウを獲得したということだ。今回が初来日のピアストリにとって、鈴鹿はもちろん初体験。シミュレーターやゲームで走り込んできたとはいえ、実走はまったく別物だ。

 そのため習熟走行に費やした初日の2回のフリー走行は7、8番手。ノリスにも、コンスタントにコンマ3〜5秒の遅れを取った。しかし2日目FP3では一気に3番手に上がり、チームメイトとの差も0.05秒まで詰めてきた。そして予選ではノリスを上回る6番手タイムでQ3に進出すると、最初のアタックで一気に2番手に浮上。3番手ノリスに0.035秒差をつけて逃げ切った。

 予選後のピアストリはこの結果を、「とても嬉しい」と素直に喜んでいた。しかし同時に、「最後にタイムを伸ばせなかったのが悔しい」とも語っていた。Q3最後のアタックでは、セクター1こそタイムを伸ばしたものの、続くセクター2、3で自己ベストを更新できず。悠々とポールを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に0.581秒の大差をつけられる結果となった。

 「いくつかミスは犯したけれど、それにしても予想以上の大差だった」

 マクラーレンは1週間前のシンガポールで、ノリスのマシンだけにアップグレードを投入。ピアストリが予選でQ1落ちを喫し、レースも7位に終わったのに対し、ノリスは予選4番手、レースも2位表彰台を獲得。それだけにアップグレードの効果はかなり大きいと思われた。

2023年F1第17戦日本GP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 実際、同一仕様のマシンを駆るふたりは、今回フェラーリやメルセデスを凌ぐ速さを見せた。しかしピアストリ自身は、「まだマシンに足りない部分は多いし、僕自身このコースにまだまだ慣れていない」と、大満足とは程遠い表情だった。

 しかし繰り返すが、デビュー16戦目のルーキーが、初めての鈴鹿でフロントロウを獲得してのけた。不振をかこつアルピーヌから、順調に復活しつつあるマクラーレンに滑り込めた運の強さも含め、久々にF1に登場した逸材であることは間違いない。

2023年F1第17戦日本GP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

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