朝乃山、意地の9勝 ホープ熱海富士のV阻む

 大相撲秋場所(両国国技館)千秋楽の24日、西前頭2枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は幕内優勝が懸かっていた熱海富士(伊勢ケ浜部屋)との大一番で、ホープを下して9勝6敗で場所を終えた。得意の右四つで若手の勢いを受け止め、元大関の意地を見せつけた。満員御礼の千秋楽で大注目を浴びた決戦を白星で飾り「ああいう歓声の中で相撲を取れて感謝の気持ちでいっぱい」と万感の思いを語った。

  ●来場所前頭筆頭か

 西前頭2枚目で9勝を挙げても三役復帰は困難な情勢で、来場所は小結が3人に増えれば入る可能性があるが、東前頭筆頭にとどまるとみられる。

 朝乃山は立ち合いで熱海富士の鋭い踏み込みを組み止めた。左上手は取れなかったが、得意の右四つから力強い攻めで休まずに攻め立てる。最後は一緒に土俵下に落ちながら気迫で寄り切った。

 熱海富士が初土俵を踏んだ2020年11月場所は大関だった朝乃山が、21歳のホープを4敗に引きずり降ろし、大きな壁となった。優勝決定戦にもつれ込むことも決まり、今場所で最も大きな歓声が沸き起こった。花道で取組の映像を確認した熱海富士は「くそっ、悔しい」と叫んだ。

 朝乃山は快勝で締めくくり「あまり深く考えず自分の相撲を信じていった。圧をかけていこうと思った。攻める気持ちだった」と満足そうだった。熱海富士にとっても、朝乃山にとっても大事な一番で「この一番でもしかしたら三役があるかもしれなかったので、負けられない闘いだった」と振り返り、三役に届かなかった悔しさもにじませた。

 今場所は復帰後初めて役力士との総当たりとなり、3勝5敗という厳しい結果だった。それでも平幕に敗れたのは正代戦のみで地力を十分に発揮した。

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