見せつけた大器の片鱗 大の里V争い 大相撲秋場所

  ●関取デビュー場所大暴れ

 石川が生んだ大器が関取デビュー場所でその片鱗(へんりん)を存分に見せつけた。大の里(津幡町出身、二所ノ関部屋)は十両で一番下の番付ながら初日から9連勝と快進撃を続け、12個の白星を並べた。破壊力抜群の突き、押しで圧倒する相撲はファンの目を奪い、日に日に大きくなる声援に大の里は「15日間、土俵入りの時から歓声を感じていた。応援してもらえてありがたかった」と感謝を口にした。

 狼雅に投げられ、土俵下に転がり落ちた大の里は土俵に手をついて下を向き、険しい表情を浮かべた。

 十両トップで並んでいた一山本は先に13勝目を挙げていたが、結果は見ずに土俵へ。「自分の一番のことだけを考えて相撲を取った」ものの、優勝にはわずかに届かなかった。

 取組後は「気にしていない。勝ち越しが目標だったので」と吹っ切れた様子。新十両の場所としては十分な成績で、体格を生かした相撲は角界内外に「怪物ぶり」を印象付けた。

 初日からの9連勝は1場所15日制が定着した1949(昭和24)年夏場所以降の最長記録に並ぶ、史上3人目の快挙。新記録はならなかったが「記録を作りに来ているわけではない」と意に介さなかった。

  ●「一日も早く上に」

 大の里が見据えるのは、口癖のように語る「一日も早く上にいく」ことだ。今場所を「15日間の闘い方を知り、いい経験ができた。自信になった」と総括した大の里。最後はすがすがしい表情で両国国技館を後にした。

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