10月21日に幕を開ける「全国高校サッカー選手権大分県大会」。36チームが集い、憧れの選手権を目指す。3年生にとっては高校部活動の総決算となる大一番だ。今年も混戦が予想される。どのような熱戦が見られるのか。シード校を中心に注目チームを紹介する。第4回は、県高校新人大会、県高校総体でベスト4と安定して力を発揮する鶴崎工業だ。
【チームパラメーター】
攻撃力 7
守備力 8
組織力 7
体力 7
精神力 8
3年生力 7
新チームになって県内大会は全て4強入りを果たすも、準決勝の壁を越えられないでいる。中津留正三監督は「悪くはないが、突き抜けるためには何かが必要」と考え、鶴崎工業の伝統である「堅守速攻」に活路を見いだした。
最終ラインを安定させるために選手の適性を見極め、中盤の選手だった渡辺丈一朗(3年)や沢井優翔(同)らをコンバートした。夏休みの間は1対1を強化するために、正しいポジション取りとタイミングなど個人戦術を高めた。フィジカルコンタクトを高めるために、週に1回「フィジカルデー」を設けて10kmのインターバル走や筋力トレーニングを課す。ひと夏を越えて、守備意識は高まり、体は一回り大きくなった。
高円宮杯JFA U-18 OFAリーグ(1部)の直近2試合は無得点、複数失点が続くが、就職活動や進学準備のためベストメンバーがそろわなかったことが要因。個人戦術を徹底して以降、対戦相手によってボールを奪う位置を定め、ゴール前を固めるのか、前線からプレスをかけるのかチーム戦術を構築している。試合では共通認識の甘さが露呈したが、沢井は「この時期に守備のほころびが出たことは収穫。修正できる時間もある」と、その表情は決して暗くはない。
戦い方にブレはなく、中津留監督は「やるべきことをチーム一丸となってやるだけ」と言い切る。選手も「失点しないこと」を第一に、守備からリズムをつくることに力を注ぐ。3年生にとって最後の公式大会となる。渡辺は「誰が出ても走れるチームになった。次の試合のことなど考えず、1試合1試合で力を出し切るだけ。3年生の思いは日に日に強くなっている。この仲間とずっとサッカーをしたい」と語った。目標はもちろん優勝だ。
(柚野真也)