女人衆、信仰世界に浸る 富山県立山町で布橋灌頂会6年ぶり通常開催、南野陽子さんも参加

目隠しをして布橋を渡る白装束の女人衆=立山町芦峅寺

 富山県立山町芦峅寺地区に伝わる女性救済儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」が24日、同地区で6年ぶりに通常開催された。ゲストとして参加した俳優、南野陽子さんら目隠しをした白装束姿の女人衆60人が、朱塗りの布橋を渡って心を新たにし、立山信仰の世界に浸った。

 布橋灌頂会は、女人禁制だった霊山・立山への入山を許されていなかった女性たちが、「この世」と「あの世」をつなぐとされた布橋を渡り極楽往生を願った江戸時代の儀式。明治時代の廃仏毀釈(きしゃく)で催されなくなったが、1996年の国民文化祭とやまで復活。近年は3年に1度開かれ、今回が8度目の開催となった。

 新型コロナウイルスの影響で2020年は中止し、21年は「儀式を次代に継承したい」という地元の意向で、規模を縮小し無観客で実施。通常の開催年に当たる今年は、6年ぶりに有観客とし、規模も例年並みに戻した。一般参加者の橋渡り体験や芦峅寺の名物料理を堪能できる「芦峅ごっつぉまつり」も復活した。

 岩手や山口など全国各地から19~82歳の60人が女人衆として参加。閻魔(えんま)堂でざんげの儀式に臨んだ後、南野さんを先頭に、教典に節を付けた仏教音楽「声明(しょうみょう)」や雅楽に導かれながら布橋をゆっくりと進んだ。橋の先にある遙望(ようぼう)館で目隠しを外し、差し込む光の中で静かに手を合わせた。

 布橋灌頂会は地元住民や立山町、北日本新聞社などでつくる実行委員会(会長・佐伯元信芦峅寺総代代行)主催。

白装束の姿で参加した南野陽子さん
目隠しをして布橋を渡る白装束の女人衆
青空の下、橋を渡り終えた女人衆はうば堂儀式が行われる遥望館に進む
うば堂での儀式を終え、目隠しを取って橋を渡る女人衆
多くの人が見守る中、目隠しをして布橋を渡る白装束姿の女人衆=立山町芦峅寺(上田友香撮影)

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