大分市保健所が自殺対策のネット広告を導入 関連語句検索で相談窓口につなぐ【大分県】

スマートフォンに表示されたインターネット広告=大分市保健所

 【大分】大分市保健所は自殺対策のインターネット広告を導入した。検索サイトで「死にたい」など関連の語句を調べると、相談窓口につなぐ広告が表示される。県内自治体では初の取り組みで、自殺リスクの高い人にネットを通じて支援を働きかける。

 市保健所によると、検索エンジン「グーグル」の「検索結果連動型広告」を利用。8月から運用を始めた。

 対象の語句は生きづらさなどに関する98個(今月19日現在)を設定。検索した人が、▽グーグルのアカウントで市内の住所を登録している▽使用した端末の位置情報が市内にある―のいずれかの場合、広告が表示される。クリックすると、市や県、国の相談窓口の一覧を載せた市のホームページが開く。

 同様の広告は厚生労働省や全国の複数の自治体が導入している。

 国内の自殺者を巡っては、若年層の増加が問題となっている。同省のまとめでは、昨年の全自殺者2万1881人のうち、児童・生徒は計514人で、過去最多だった。

 市保健所の広告はネットに慣れ親しんだ若い世代にアプローチする狙いもある。市内では、若年層の自殺者数が突出しているわけではないが、全国的な状況を踏まえて実施を決めたという。

 保健予防課は「自殺はさまざまな原因が背景にある。必要としている人に支援の情報が届くよう努めたい。悩みがある人は一人で抱え込まず、気軽に相談してほしい」と話した。

<メモ>

 大分市保健所によると、市内の自殺者は近年、70人前後で推移している。昨年は75人。年齢別では、40代が最多の15人。多い順に▽50代 13人▽30代 12人▽20代 11人―と続いた。

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