鹿沼の洋画家・大輪さん 国会議員の肖像画制作に従事 6枚目は玄葉元外相に

描いた肖像画を玄葉元外相(右)本人に披露した大輪さん

 【鹿沼】西沢町の洋画家、大輪信雄(おおわのぶお)さん(72)は、2017年から在職25年以上の国会議員を対象に国会議事堂の委員室に飾られる肖像画の制作に携わっている。19日には6枚目として、玄葉光一郎(げんばこういちろう)元外相(59)の肖像画を引き渡した。大輪さんは「描かせてもらうのは光栄なこと。本人に喜んでもらえるのが何よりうれしい」とすがすがしい表情をみせた。(柴山英紀(しばやまひでき))

 大輪さんは福島県白河市出身。事務機器メーカーに勤務していた29歳の時に、第一美術協会の公募展で入選したことを契機に「人生一度は好きなことをやってみたい」と画家に転身。その後、鹿沼市内に移住し、主に植物や人物を描く写実画家として活躍している。

 衆議院事務局に勤務していた友人の紹介で17年に高木義明(たかぎよしあき)元文部科学相の肖像画を制作。以降、山本公一(やまもとこういち)元環境相、鈴木俊一(すずきしゅんいち)財務相、鴨下一郎(かもしたいちろう)元環境相、岩屋毅(いわやたけし)元防衛相と5人の肖像画を手がけた。玄葉氏は旧知の岩屋氏の作品を見て気に入り、在職30年の節目に大輪さんに依頼した。

 衆議院事務局によると、肖像画の大きさはF30号(縦91.0センチ、横72.7センチ)で、額に入れ委員会が開かれる委員室に飾られる。制作者や手法は自由で、02年に国費負担から自費制作に変更された。対象者の約6割が掲出を希望するといい、衆議院では現在161枚が掲揚されている。

 肖像画を描く際、大輪さんが重視するのは「品格がにじみ出るように描くこと」。写真などの原画を参考に、髪の毛一本一本まで丁寧に色をのせる。「本人が気に入らないと意味がない」と「構図」「大まかな着色後」「仕上げ前」の3度、依頼主に写真を送り確認してもらうという。

 19日には東京・永田町の衆議院第一議員会館を訪れ、玄葉氏に直接肖像画を披露した。玄葉氏は「私の希望を丁寧に聞いて描いてくださり、ありがたかった。他の議員の先生にも推薦したいくらい」と称賛。地元で支援者に公開した後、第11委員室に掲げられる。

 すでに新たな肖像画の依頼が入っているという大輪さん。「今後も依頼があれば、一枚一枚心を込めて描いていきたい」と笑顔を見せた。

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