弘南鉄道(本社青森県平川市)は25日昼前から弘南線(弘前-黒石)と大鰐線(中央弘前-大鰐)の運行を見合わせ、最終まで運休した。同社は「レールに異常が見つかったため」と説明した。26日も始発から終日運転を見合わせる予定。25日の運休は上下計約50本に及び、約4600人に影響が出た。同社の担当者は取材に対し「再開のめどは立っていない」と語った。
異常があったのは弘南線の黒石-境松間と大鰐線の中央弘前-弘高下間の2カ所。職員による同日の点検で線路に摩耗などが見つかった。25日夕方、弘前市の弘南線弘前駅改札口近くでは、多くの利用客が「終日運休」を知らせるホワイトボードに見入っていた。
帰宅しようとしていた平川市の男性会社員(64)は「事故でもないのに弘南線、大鰐線ともに運休とは意味が分からない。本当に不便」と憤っていた。黒石市の30代のアルバイト女性は「(運休だと)今知ったばかり。家族に迎えに来てもらう」と困惑気味に話した。
弘南線の弘前東高前駅では、近くの学校に通う生徒らが途方に暮れていた。黒石市から通う弘前東高校2年の男子生徒4人は「駅に来て運休を知った。帰りの時間に電車が止まるのは大変」と話した。
弘南鉄道では8月6日に大鰐線で脱線事故が発生して17日間運休、同23日に運行を再開したばかり。事故の詳しい原因については、国の運輸安全委員会が1年以内をめどに事故調査報告書をまとめる。
大鰐線の中央弘前駅に来て運休を知った女性(20)は「夏も運休して大変だったが、廃線なんて話にならなければいいけど…」と語った。