カニ保護へ禁漁区拡大 石川県底曳網漁連、4年ぶり

加能ガニを水揚げする漁業者=昨年11月、金沢港

 「加能ガニ」や「香箱ガニ」として知られる石川県産ズワイガニ保護のため、県底曳網漁業連合会は、11月6日に始まるカニ漁期前の禁漁区を拡大した。従来の海域に加え、加賀沖から輪島沖にかけての一部で新たに操業しないことを申し合わせ、成長しきっていないカニが網に巻き込まれて弱ってしまうリスクを抑える。短期的には漁業者の収入減につながるが、将来の漁獲量確保へ足並みをそろえた。

 禁漁区域の拡大は4年ぶぶりで、9月1日から適用した。昨シーズンまでは水深230~390メートルの水域を対象としていたが、資源保護の取り組みを加速させるため、より浅い同220メートルなどの水域を加えた。

 また、時期や漁船によってばらつきがあった禁漁区も全て統一し、県内6地区の約120隻が一致して幼いカニの保護に取り組む体制とした。

 県底曳網漁業連合会によると、水温1~2度の海底で生息するカニは高温に弱い。残暑が厳しい9月は海面の温度が25度を超えることから、底引き網漁でカニを引き上げると死んでしまう可能性がある。

 10月にかけては、カレイ類などが底引き網で取れるが、水揚げする際に「稚ガニ」と呼ばれる小さなズワイガニを巻き込み、成長を阻害しかねない。稚ガニの減少はカニの水揚げ減少に直結することから、禁漁区をさらに広げた。

 県産ズワイガニの雄「加能ガニ」の水揚げ量は2010年度をピークに減少し続けていたが、昨季は12季ぶりに増加。同連合会が進めてきた取り組みの成果とみられ、橋本勝寿会長は「資源管理を一段と徹底して漁獲量を守り、若い人たちにカニを残したい」と述べた。

  ●「香箱」増加見込み

 国立研究開発法人水産研究・教育機構(横浜市)が今年6月に実施した日本海の資源調査では、雌のズワイガニの資源量が増える見通しとなった。同機構の佐久間啓研究員は「昨季と同様の漁を行った場合、漁獲量は上積みが見込まれる」との見方を示しており、今後、禁漁区の拡大によってさらなる漁獲量の増加につながる可能性がある。

 佐久間氏は数年後に漁獲対象となる6~7歳のカニが極めて少ないと指摘。「保護するのは非常に重要だ」とし、県底曳網漁業連合会の取り組みを評価した。

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