非常に厄介ながら人類に有用な放射性物質“セシウム137”、原発処理水との関連性は?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「New global」のコーナーでは、放射性物質“セシウム137”について取り上げました。

◆人間に必要!? セシウム137とは?

8月21日、イランは"セシウム137”の生産に成功しました。イラン原子力機関長官のモハマド・エスラミ氏は「セシウム137の生産は、他国への輸入依存をなくす貴重な原子力の成果」と語り、イラン政府は「核開発はあくまで"平和目的”」と強調しています。

"セシウム137”とは、ウランの核分裂で発生する放射性セシウムのひとつで自然には発生せず、主に使用済み核燃料や放射性廃棄物に含まれるもの。そして、放射性物質のなかでも約8日間で半減期(量が半分になるまでの期間)を迎える"ヨウ素131”などとは異なり、これは半減期が約30年と長期に渡ります。

その間に植物などに付着すると表面から取り込まれ、除染作業をしようにも時間が経てば経つほどそれは難しくなるなど、堀曰く「非常に扱いが厄介なもの」と説明。

しかし、一方で人類にとっては有用で、例えば、がんの放射線治療、輸血時の血液照射などに使用されており、総じて堀は「原発事故があって少しずつ知識を蓄えてきたが、(セシウムについては)まだまだ知らないことがたくさんある」と話します。

タレントのREINAさんは「私もネガティブなイメージしかなかった」と同意。また、イランが発表した報告書を読んでみたそうで、そこにはあくまで平和目的である、用途は医療用・産業用とあるものの「(イランとは)過去にもいろいろあったので、少し不安に思うところもある」と率直な思いを語ります。

◆堀が今回セシウム137を取り上げた理由

前述の通り、セシウム137は大変扱いが難しくとても厄介で、過去にはアメリカでも大きな問題に。堀が約10年前に取材したサンタスザーナ野外研究所の商業用原子炉の実験施設では1959年にメルトダウン事故が発生。13本の核燃料棒が溶けました。当時はコンクリートで遮蔽されていなかったため、放射性物質が大気中に飛散。その後、アメリカの国家機関が調査をしたところ、2012年に基準濃度の1,000倍のセシウムが残っていることが発覚。国は除染を行うも、今なおその処理は続いているそうです。

なぜ今回、セシウム137に注目したかというと、8月24日に政府は福島第一原発の処理水を海洋放出しましたが、それに際してメディアで名前が上がる放射性物質はトリチウムばかり。当番組にも「処理水の中にはセシウムも含まれているのではないか」、「なぜそれを公表しないのか」といった意見が寄せられていると言及。

堀はこうした声に対し、「実を言うと、計測はしている」と説明。福島第一原発では汚染された水をALPS(多核種除去設備)で処理し、海水で希釈して海洋に放出しています。

環境省は、処理水に含まれるトリチウム濃度やγ線核種(セシウム137など)の分析を当分の間、毎週実施していくと発表しています。

報告書のなかには「海水中のγ線核種分析結果」という項目があり、γ線を出しているものをまとめて計測した結果を明記しており、「僕はこういうことをもっと丁寧に時間を使って、国は語るべきだと思う」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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