JR三重町駅前の人気食堂「大五郎」50周年 レトロな建物と内装が評判【大分県】

オープン50周年を迎えた人気食堂「大五郎」=豊後大野市三重町赤嶺のJR三重町駅前
看板メニュー「大五郎定食」を手にする三浦征夫代表(左)と妻文子さん
看板メニューの「大五郎定食」(800円)。オーブンがなくハンバーグができなかったためミンチカツを使ったところ好評だったという
住民や県外客からも愛される人気食堂「大五郎」の三浦征夫代表(左)と妻文子さん

 【豊後大野】豊後大野市三重町のJR三重町駅前にある人気食堂「大五郎」が50周年を迎えた。地元住民や単身赴任の官公庁職員らに愛され続け、親子3代の常連客も。10年ほど前からは築約70年の建物や内装がレトロと評判を呼び、県外客も多い。三浦征夫(ゆくお)代表(79)と妻文子さん(76)は「お客さんに喜んでもらえるよう一日でも長く営業したい」と気持ちを新たにしている。

 三浦代表は三重町出身。地元高校を卒業後、大阪市の高級レストランで6年間腕を磨いた。異なる職種を経て、ふるさとで見つけた好物件に1973年9月、食堂を開いた。店名は長男の名前から取った。

 当時は周辺に食堂が5店前後あり、料亭やパチンコ店なども立ち並んでにぎわった。大五郎もおいしいと評判になり、スーパーの従業員寮から食事を頼まれるなどすぐに軌道に乗った。多い時にはアルバイトを5人ほど雇った。

 ただ、いい時代は長く続かなかった。オイルショックの波にのまれ、寮は閉鎖。少子高齢化などで客足も減ったが、「一生懸命やれば食べに来てくれる」と夫婦二人三脚で頑張った。風向きが変わったのは2015年ごろ。レトロさが注目を集め、取材が相次ぐように。今では県外客が半数を超える日もあり、「こんな店を探していた」「改装せずにこのまま営業してほしい」と言われるという。

 三浦代表は豊後大野食品衛生協会の指導員を45年、地元の少年野球でも30年コーチを務めるなど地域に尽力。一方、21年に不整脈や脳梗塞を発症。大事には至らなかったが、歩行に支障が出るなど後遺症がある。

 「テレビに出ると常連だった全国の人から電話をもらったり、病院のリハビリでは少年野球の元教え子が指導してくれたりと縁を感じる」と三浦代表。

 文子さんは「店を閉めると張りがなくなりそうなので、2人でぼつぼつ続けたい。お客さんとの触れ合いは生きがい」と話した。

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