完膚なきまでに

 表現が文語調で少し古めかしく、紙面でなかなかお目にかからない気もしたので改めて辞書を引いてみたら、元々の意味は〈きずのない皮膚〉〈傷つけられない場所〉とあった。それが『ない』…要は徹底的なこてんぱんの傷だらけ▲〈完膚なきまでにたたきつぶされた〉0-6の惨劇から3日目。それでも、怒りや落胆や胸のモヤモヤがまだ収まらないサポーターはいるだろう。サッカーJ2のV・ファーレン長崎が23日、ホームに首位・町田を迎えた一戦で記録的な大敗を喫した▲早い時間帯に退場者が出て数的不利に陥り、微妙な判定が失点に直結する不運もあった。この日が長崎県民に活発な来場を呼びかける「満員プロジェクト」のゲームだったのは“よりによって”と言うべきか▲リーグ全体でも年に一度あるかどうか…のワンサイドゲームだ。分かっている。誰かが望んでこうなったわけではない。信じられない展開や結果を引き起こすのもスポーツの魅力▲ネットの掲示板が荒れている。チーム愛ゆえ、応援に込める熱量ゆえ-の言葉ではあるのだろう。ただ、感情的な発信をぶつけ合っても建設的な何かが生まれるとは思えない。ファンの仲違(たが)いは悲しい▲チームは現在6位。リーグ戦は残り6試合。ファビオ・カリーレ監督はきょうが50歳の誕生日。(智)

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