【MLB】 パドレスが年俸削減へ ソト、スネル、プレラーそれぞれの去就

写真:パドレスと6年契約を結んでいるダルビッシュ©Getty Images

終盤の大型連勝も虚しく、プレーオフの希望はほぼ断たれてしまったパドレス。総額およそ2億5300万ドルのスター軍団は過渡期を迎えている。

地元紙「サンディエゴ・ユニオン・トリビューン」のパドレス番記者ケビン・エースによれば、パドレスは2024年の年俸総額(ペイロール)を2億ドル近くに削減して臨むとのこと。AJ プレラー編成本部長、そしてチーム最大のスターの1人であるフアン・ソト、サイヤング賞最有力のブレーク・スネルら、球界の重要人物の去就に大きな影響をもたらすことになりそうだ。

この報道からほとんど明らかなのが、パドレスが今季限りでFAとなるスネルと球界屈指の守護神ジョシュ・ヘイダーの引き留めに動かないということだ。

2度目のサイヤング賞を目前とするスネルは年平均3000万ドル以上の、キャリアベストのシーズンを送るヘイダーは年平均2000万ドル以上の契約を目指すことが確実。この2人を維持しながら年俸を削減する方法は存在しない。

そして、先発ローテの一角を占めたセス・ルーゴ、ニック・マルティネス、マイケル・ワカの3投手とも袂を分かつことになりそうだ(ルーゴはプレイヤーオプション破棄でFAの公算大。マルティネスとワカは球団が相互オプション破棄の公算大)。その他にもまだ契約が残る中堅手トレント・グリシャム、救援ティム・ヒルらのノンテンダー、あるいはトレードを検討する必要もあるだろう。

これらの選手がFA等で退団することになれば、5000万ドル以上の節約が可能になる。そこからそれら10人近い選手の代わりを用意しなければならないが。

とはいえ、パドレスの目的は解体&再建ではない。タティス、ボガーツら中心選手の多くとの契約は残り、来年の確定分の年俸だけでおよそ1億7000万ドルが既にテーブルにある。

パドレスが収入を増やす一方で、支出が増え、経営赤字となっているのはもはや公然の秘密だ。今オフの年俸削減で支出を減らし、贅沢勢のしきい値を下回ることはマストの課題となってくるのではないだろうか。

その上で契約が残るコアを中心にチームを再編し、依然として優秀なマイナー組織からイーサン・サラス(『MLB.com』のプロスペクトTop100で5位)やジャクソン・メリル(同ランキングで9位)らの合流を待つ…というのがパドレスの青写真かもしれない。

エース氏の記事では「より完全で手頃なロスターを目指す」と書かれているように、スター頼みで層が薄いことが課題だった今年の反省を活かした上で、ローコストなチームを目指す考えのようだ。

そうなってくると、フアン・ソトのトレードは避けられないかもしれない。来年の勝負を捨てないならば、ソトという球界最高の打者の1人を手放す余裕はないだろう。しかし、ソトを来年、そして来年以降キープし続ける余裕もないのが事実だ。

来年限りでFAとなるソトは、調停最終年で3000万ドル以上を手にすると見られ、FAでも天文学的な契約を得ることが確実視されている。来年の年俸だけならともかく、既に多数の大型契約を抱えるパドレスに、ソトと契約延長する経済的余裕があるとは考えにくい。

それならばソトを今オフ中にトレードし、有望な若手選手を得て、ソトの年俸を浮かす方が理に適っている。

ソトをはじめとする選手の去就が気がかりな一方で、首脳陣の去就も不透明だ。大胆なトランザクションで“ロックスター”の異名を取るプレラー編成本部長は、勝負をかけた今シーズンに結果を出すことが出来なかった。名将の呼び声高かったボブ・メルビン監督もプレラーと「修復不可能」な関係に陥っていると『ジ・アスレチック』が報じている。

パドレスにとっては激動のオフシーズンが待ち受けている。

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