【リニア】国の報告案「トンネル工事によって高山植物への影響は及ばない」に県が難色「議論に積み残しがある」  26日開催・国有識者会議 

リニア新幹線の工事に伴う、南アルプスの環境への影響を議論する、国の有識者会議が開かれました。国交省は、これまでの議論をまとめた報告案を示しましたが、静岡県は「議論に積み残しがある」と難色を示しました。

JR東海は、リニア新幹線のトンネル工事により、南アルプスの地下水が低下する予測を示していて、県は絶滅の恐れがある動植物への影響を懸念しています。

国が設置した有識者会議では「水辺の生物」や「高山植物」に与える影響など3つの論点について議論が続けられています。

9月26日の会議では、国交省から、これまで1年4か月にわたる議論をまとめた報告案が示されました。その中では、「トンネル工事によって高山植物への影響は及ばない」など動植物への影響や対策が示された上で、「環境影響の予測や分析、モニタリングなどを通して、必要な見直しを行なっていくことでトンネル工事に伴う環境への影響を最小化することが適切」などと提言しています。この報告案について、JR東海は「議論が着実に進んている」と評価したのに対し、県は、沢の流量変化の予測などに「議論に積み残しがある」として、報告案のとりまとめに難色を示しました。

(県くらし・環境部 山田 琢也 部長代理)

「議論を積み残したままで『案』が取れるということはない。国の有識者会議設置の目的にもかなわない。引き続き意見を言っていきたい」

県は今後、県の専門部会の委員から意見を聞いた上で、国交省に議論すべき項目などについて意見書を出す方針です。

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