宇宙ごみ観測、実証衛星に遅れ 搭載予定の米ロケット失敗で

アストロスケールが打ち上げを計画する実証衛星「ADRAS―J」(同社提供)

 宇宙ごみ除去の事業化を目指すベンチャー企業「アストロスケール」は26日、除去に向けた観測技術の実証衛星「ADRAS―J」(アドラスJ)の打ち上げが、予定した11月から遅れると発表した。搭載予定だった米国のロケットが、別の衛星打ち上げに失敗したためだとしている。

 実際に宇宙空間を漂うロケットの残骸に衛星を接近させる世界初の試みで、注目を集めている。記者会見した岡田光信最高経営責任者(CEO)は、来年3月までの実現を目指すと説明した。

 計画では、日本が2009年に打ち上げたH2Aロケット15号機の第2段(全長約11メートル、直径約4メートル、重さ約3トン)に数メートルの距離まで近づき、回転や損傷状態を観測して、全体像を撮影する。成功すれば、実際の除去に向けた検討段階に進む。

 近年、通信や気象観測などで人工衛星の用途が広がり、ロケットでの打ち上げ数は急激に増加している。同時に宇宙ごみも増え続けており、運用中の衛星に衝突する危険性が指摘されている。

© 一般社団法人共同通信社