同じ患者に2度にわたり投薬ミス、会見で謝罪 山口県立総合医療センター

 山口県立総合医療センター(山口県防府市)で、末期の肺がん患者に対し2度にわたって投薬ミスをしたとして、院長らが会見を開いて謝罪した。患者は直後に死亡したが、ミスとの因果関係はないと否定している。

ステロイドを予定の11倍処方、モルヒネは2倍

 会見で武藤正彦院長らが公表したところによると、今年1月4日、末期の肺がん患者が自宅療養を希望したため、自宅での服用薬として、倦怠感や食欲低下などをおさえる効果のあるステロイド薬を処方。しかし主治医は、電子カルテで処方量を入力する際、予定の11倍にもあたる1日あたり11錠(44mg)と入力してしまいそのまま調剤され、患者は自宅で服用した。なおこの薬の1日あたりの適量は5錠(20mg)だった。患者は自宅で過ごしていたが症状が悪化したため再入院。その際、病院の薬剤師が調剤量が過大だったことに気づいて発覚した。

 さらに、患者の再入院後9日目朝に、痛み止めのモルヒネの投与量を誤って2倍投与した。点滴薬で、通常投与開始の際に看護婦が2人で確認することになっていたが間違ってしまったという。男性はその2日後に肺がんで死去した。

 会見では、この2回のミスについて、いずれも発覚した時点で患者と家族に謝罪したとしており、またこのミスと死亡との因果関係はないとしている。武藤正彦院長は「誤投与に関し、患者さまとご家族の皆さまに大変なご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げる。今後、全職員が一丸となり再発防止と安心で満足度の高い医療の提供に取り組む」と話した。

© 合同会社ソシオタンク