山中漆器、台湾に活路 加賀の5社、合同で販路開拓 レンタル会場に商品、現地バイヤーと商談

山中漆器が展示された会場=台湾・台北市(打出さん提供)

 加賀市で山中漆器を扱う5社が連携し、台湾での販路開拓に乗り出した。30日まで各社の代表者が現地に滞在し、レンタルスペースなどで商品を展示、百貨店や小売店などのバイヤーとの商談に臨んでいる。人口減少や生活様式の変化で国内市場が縮小する中、日本製の食器、歴史文化に関心が高い台湾の富裕層らに伝統産業の魅力を売り込み、輸出拡大につなげる。

 台湾を訪れているのはウチキ(柏野町)、カノー(黒瀬町)、守田漆器(山中温泉上原町)、たつみや(別所町漆器団地)、岡田や漆器(同)。5社が経済産業省の補助金の事業採択を受け、台湾の市場開拓を合同で行うことになった。

 25、26日は日本産品の海外進出を後押しする企業「クラフトTOKYO」が台北市内に構えるレンタルスペースに器やビールグラスなどを並べた。27日以降は台中、台南、高雄の各都市で展示商談会を予定している。

 ウチキの打出浩喜社長(63)によると、台湾は日本伝来の漆芸文化が定着しており、山中漆器も新たな商材として今後の浸透が期待されるという。実際、今回の商談で岩手県の南部鉄器を輸入しているバイヤーから注文が入った。

 山中漆器の生産額は昭和60年代の約400億円をピークに減少が続き、2021年度は約59億円にとどまった。伝統産業の復興に向け、各社は海外市場の開拓に力を入れており、5社による台湾事業もその一環となる。

 5社は10月、マレーシア、シンガポールでも商談会を計画しており、打出社長は「伸びしろの大きい海外市場に積極的に打って出て、山中漆器の魅力を発信したい」と話した。

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