「大きく ぐるんぐるん体が回される」知っておきたい高層ビルを揺らす「長周期地震動」【わたしの防災】

大規模な地震で高層ビルを揺らす長周期地震動。固定していない家具が大きく動き、倒れるなどの危険があります。高層ビルの中では、実際にどのような揺れに見舞われるのか、体験しました。

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長周期地震動は大規模な地震に伴い、発生します。

<東日本大震災時の記者リポート>
「やばい、やばい」「看板が落ちてきています」

2011年の東日本大震災では、震源から遠く離れた東京や大阪などでも高層ビルが大きく揺れました。この周期の長い揺れが長周期地震動です。

長周期地震動には、地上の揺れを表す「震度」とは別に、4段階の「階級」があります。「階級3」は立っていることが困難。「階級4」は、はわないと動けないほどで固定していない家具の大半が動いてしまいます。

2023年5月、最大震度6強を観測した石川県能登地方の地震では、「階級3」の長周期地震動が観測されています。

長周期地震動の揺れを再現できる振動台を備えた最先端の研究所。今回、特別に体験させてもらったのは、これまで東京を襲った最大級の地震である1703年の元禄地震と同じ規模の揺れです。

高さ150mの超高層ビルの最上階にいた場合、どのような揺れに見舞われるのでしょうか。

<TBS 上村彩子アナウンサー>
「足下がぐらぐらし始めました。急に。大きくぐるんぐるん体が回されますね。うわー。今、立っていられないです。体が一瞬浮きました」

最大の揺れ幅は往復で、約1m40cm。大きな円を描くようにグラグラと大きく揺れました。今回の実験は長周期地震動の4つの階級のうち、最大の「階級4」にあたります。

別の実験では、ビルの中の椅子が動いたり、本棚が倒れたりする被害が出ました。

<TBS 上村彩子アナウンサー>
「ゆさゆさと長さも大きさもあって、すごく気持ち悪い揺れ方でした」

<清水建設 福喜多輝センター長>
「椅子が動いてきたり、コピー機のような什器が迫ってきたりということがありますので、移動しやすいものを固定する。あるいは、転倒しやすいものを固定するというような対策が重要だと思います」

長周期地震動による超高層ビルの揺れは、大地震の場合、10分以上続くこともあるといいます。

静岡県の平野部は、長周期地震動への対策が必要なエリアで、建物の建築時に想定していた地震動の大きさを上回る可能性があります。

いざという時、パニックにならないためにも超高層ビルを襲う「長周期地震動」がどんな揺れなのかを事前に知っておくことが大切です。

気象庁は、2023年2月から長周期地震動の「階級3」、または「4」を予測した場合、緊急地震速報の対象地域に加えて発表しています。

緊急地震速報が出たら身の安全を守ることと、また、揺れに備えて家具を固定するなど普段からの対策が重要です。

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