全国高校サッカー選手権県予選前企画(5) 大分鶴崎 勝ち切るために細部にこだわる 【大分県】

10月21日に幕を開ける「全国高校サッカー選手権大分県大会」。36チームが集い、憧れの選手権を目指す。3年生にとっては高校部活動の総決算となる大一番だ。どのような熱戦が見られるのか。シード校を中心に注目チームを紹介する。第5回は県高校新人大会、県高校総体と優勝候補に挙がりながら、ここまで無冠の大分鶴崎。

【チームパラメーター】

攻撃力 9

守備力 8

組織力 9

体力 10

精神力 9

3年生力 9

戦力が整い、チームの一体感も最高潮だった5月の県高校総体で、まさかの3回戦敗退。山本一広総監督が「『負けに不思議の負けなし』というが、なぜ負けたのかわからない」というほどだ。それでも、「なぜ、負けたのか」を突き詰め、「何が起きても勝つチームになる」ため、全てをつぎ込んだ。

目指すスタイルは変わらない。全員でパスをつなぎ、主導権を握る。意識したのは、攻守の切り替えの部分。速くすることで一瞬のチャンスをつくり、一瞬のピンチをしのぐ。「勝ち切るために一瞬」にこだわった。他にも、最後まで走り切るために週に一度の10km走は欠かすことはなく、誰が出ても戦力が変わらぬようチームの底上げも順調に進んだ。夏休みは県外の強豪校に出向き、強化試合で実戦を積んだ。

攻撃力は増し、どこからでも得点できるようになった

ひと夏を越えて、チームは明らかに成長した。強豪校に競り勝つようになった。後半に逆転できるチームになった。懸念材料の試合の立ち上がりの悪さは改善の余地があるが、ピッチにいる選手が声を出し、コミュニケーションを図ることで悪い流れを断ち切るタフさを身に付けた。山本総監督は「勝ち切るために細部にこだわり、一瞬の差をものにできるようになった。これが大会を勝ち上がるために必要なこと」と復活への手応えを示した。

高円宮杯JFA U-18 OFAリーグ(1部)では首位を独走。2巡目は4戦全勝と好調を維持する。攻撃の破壊力は増し、守備は大量失点することはない。キャプテンの高橋涼介(3年)は「攻撃のバリエーションが増え、中央からでもサイドからでも得点できるようになった。優勝するためにやれることはできている」と言い切る。2010年以来の全国選手権出場に向けて、死角が見当たらないチームになりつつある。

優勝に向けて気運は高まっている

(柚野真也)

© オー!エス! OITA SPORTS