竹田市特産のサフラン使ったクラフトビール 市わかば公社が商品化、苦境の農家を応援【大分県】

クラフトビール「サフランWOエール」を発売した市わかば公社の堀哲郎エリアマネジャー=竹田市米納の道の駅竹田
竹田市特産のサフランを使ったクラフトビール「サフランWOエール」
室内栽培で高品質のサフラン10万株を育てる長谷川暢大さん=竹田市吉田

 【竹田】竹田市特産のサフランを使ったクラフトビール「サフランWOエール」が今月、発売された。同市産は高品質で国内生産量の8割ほどを占めるとされるが、高齢化や安価な外国産の流入で生産者が減少。苦境に立つサフラン農家を応援しようと、道の駅などを運営する市わかば公社が商品化した。「生産量増加や農家の所得向上につながれば」と話している。

 国東市武蔵町糸原でビール製造を手がけるブリューテンダーと協力して開発。発酵過程で麦汁をサフランの乾燥めしべが入った容器に通過させて成分を加え、サフランの香りが楽しめるビールになったという。商品名のエールには「応援」の意味も込めた。

 サフランはめしべが料理のスパイスに使われる。同公社や竹田市によると、約40戸が独自の室内栽培に取り組み、めしべの収穫量は年間約12キロ(推定値)。

 高品質の理由について、10万株を育てる長谷川暢大(のぶひろ)さん(46)=市内吉田=は「光や湿気でクロシンなどの有効成分が失われるのを防ぐ室内栽培や、つぼみのうちに収穫する作業手法などによる」と説明。球根を育てる冬季の湿度が高くなりやすい同市の気候も、大きい花を付ける上で好条件という。

 60年ほど前は400戸以上が生産していた時期もあり、約10分の1に減った。新規参入に関しても、収穫期に多くの人手が必要なことや、栽培法が一般化されていないことが障壁になっていると考えられる。

 ビールは少量生産で販売し、売り上げの一部はサフラン農家に対する生産支援に充てる予定。同公社の堀哲郎エリアマネジャー(50)は「伝統の存続に向け、知ってもらい、アピールする機会になれば」と意気込んでいる。

 330ミリリットル入りで748円(税込み)。市内のグリーンピア天神や竹田、すごう両道の駅で販売している。問い合わせは同公社(0974.66.3553)。

© 有限会社大分合同新聞社